実は、コピーライティング研修でこれを出題すると、みんな苦戦する。    
 その理由として、

●誰に向けて何を書くか、という戦略の基礎
●どのように簡潔に表現するか、というコピーライティングの基礎

 これらができていない、という2つの課題があらわになる。

 では、冒頭のお題に対するソフトバンクの実際のコピーはどうか。
 リズムよく特長を打ち出したプロの合わせ技コピーがこれだ。
 実は本書PART2で紹介した「キャッチコピーの2つの型」が盛り込まれている。

《型30「3ワード見出し」+型13「無料提供」活用例》
 最強コピー例:「学生! 家族! 3年! 0(タダ)」
 出典:ソフトバンク株式会社
 ※実際のクリエイティブは、本書をご覧ください。

 先に触れた受講生が苦戦した2つの課題を覚えているだろうか?
 結果を出しているコピーは、2つの課題を見事に克服していることがわかる。

●誰に向けて何を書くか
 という戦略の基礎ができていない。
→誰に、何の価値があるかの戦略が事前に練られている
●どのように簡潔に表現するか

 というコピーライティングの基礎ができていない。
→リズム感を持った「型」を使い、戦略を簡潔に表現している

 この場合の戦略でターゲットとなるお客は、家族である妻や、学生である子息を持つお父さん=決裁者がターゲットだ。

 そのターゲット一番の悩みは、「出費」。
 1人分が3人分に増えることでまず心配するのは出ていくお金である。
 そこで「ターゲット×提供価値」という戦略を練ると、「0」と書いて「タダ」と読ませるコピーができあがる。

 現代の事例にも、名著として名高い、1932年に刊行された『ザ・コピーライティング』にある最強の型が、巧みに取り入れられているわけだ。

 さて、私の研修受講者のことに話を戻そう。
 1日7時間の研修現場では、「戦略の基礎」「コピーライティングの基礎」ができてないことを自己認識した後に、演習つぐ演習を繰り返すことで、ようやく戦略が描けるようになり、売れるコピーらしきものが書けるようになる。

 学んだことを身につけるには、繰り返し繰り返し実践で使うしかないのだ。