日本初?世界初?のメソッド

久保田 競
(Kisou Kubota)
京都大学名誉教授、医学博士。世界で最も権威がある脳の学会「米国神経科学会」で行った研究発表は、日本人最多の100点以上にのぼり、現代日本において「脳、特に前頭前野の構造・機能」研究の権威。2011年、瑞宝中綬章受章。1932年、大阪生まれ。著書に、『1歳からみるみる頭がよくなる51の方法』『赤ちゃん教育――頭のいい子は歩くまでに決まる』『あなたの脳が9割変わる! 超「朝活」法』(以上、ダイヤモンド社)などベスト&ロングセラー多数。

本書の巻末特典にある、お風呂で唱えるだけで算数力がアップ!「お経式暗算法」ミラクルシート、には、覚えやすいように「0~9」のひと桁の数字を並べました。お風呂で唱えやすいものにしてあリます。

 最新の脳科学を使って、お風呂で子どもの脳の働きを高める方法を提案したのは『小学校前にみるみる算数力がつく15の習慣』が日本初、いや世界初かもしれません。

 有毛皮膚の自由神経終末が快感を起こすことがわかってきたのが2009年ごろで、「C線維カレス系システム」が皮膚からの触覚を感じ、それが快感を起こすシステムだと脳科学者が言い出したのが2014年のことです。

「C線維カレス系システム」を子育てに利用できることを最初に知らせ、薦めたのが『赤ちゃん教育』(ダイヤモンド社、2015年)。これも世界初でしょう。

 たとえば、大泣きしている赤ちゃんを1分以内に泣きやめさせることは簡単にできます。子どもに不快感や痛みを起こさないで、皮下注射(普通の注射、皮膚に注射針を刺して、液体を皮下に入れる。一方、筋肉注射の場合は筋肉に入れる)もできます。このことを、母親や小児科医が知っていると役に立ちます。

「報酬系」の脳科学の世界的指導者に、ウォルフラム・シュルツ氏(ケンブリッジ大学教授)がいますが、最近、「神経細胞の報酬と決段;理論からデータへ」というタイトルで、前頭葉の働き、ドーパミンとサルの関係をまとめた総説を発表しました。

 彼の発見した事実を、『小学校前にみるみる算数力がつく15の習慣』では活用しています。

 彼が高校生のとき、シカゴにあったアメリカ医師会の生物医学研究所を訪問。1963年にシナプスのメカニズムの研究でノーベル賞(医学・生理学)を受賞した、ジョン・C・エックルズの研究室を見学しました。

 当時、そこでは、御巣鷹山の日航機墜落事故で亡くなった畏友・塚原仲晃教授(『脳の可塑性と記憶』<岩波現代文庫>)や、D・I・アレン博士が研究していました。

 そこでアレン博士が、「これからの脳研究では、神経細胞の活動を研究することが大事になるから、そのような研究をすべし」と言われました。
 そのような研究として示された論文は、なんと、私が書いた1971年の論文でした。

 これは、サルの前頭前野の神経細胞が、短期記憶を保持するメカ二ズムを示したものでしたが、シュルツ博士は、その指示に従って研究をし「報酬系」の業績を挙げたのです。

 このように、私やシュルツ氏の研究が「お経式暗算法」に活かさせているわけです。

 今回は、「お経式暗算法」につながる脳研究のプロセスを紹介しました。