ポイントは、設問の仕方にある
もちろん、誰でも本質を突き詰めようと考えているはずです。戦略思考で大事なことは、問題に取り組む際の姿勢と方法です。設問を考える際には、解決策志向的な設問を行うことが重要です。
会社の会議を思い出してください。あなたの会社で、「売上が伸び悩んでいる」として、営業会議を行うとします。そのとき、会議の議題を「売上を伸ばすにはどうしたらいいか」としたら、どうなるでしょう。
・社員やその家族に値引き販売する
・広告宣伝を活発にやる
・セールスマンにコミッションをやる
・下取り価格を下げる
といったアイデアが出るかもしれません。しかし、これらは単なる思いつきの列挙です。なぜなら、こうした質問には致命的な欠陥があるからです。それは、これらのアイデアには、その有効性を検証する方法がないのです。
検証できない打ち手はいくら打っても、結局、行き当たりばったりです。失敗しても何も学べず、次につながりません。仮にうまくいったとしても、それは単なるまぐれあたりで、再現性のあるノウハウとして蓄積することができません。
しかし、職場の会議の多くが実はこのような設問をして、無駄な議論を繰り返しているのが実態です。残念なことです。
設問は「解決策志向型」にする
そこで、質問を変えてみます。解決策志向型に変えるのです。たとえば、
「当社の売上が伸びないのは、シェアが伸びていないからか?」
この設問の答えは「YESか、NOか」のいずれかになります。これは、調べればわかります。このように答えが求められる質問こそが、本質を突いた答えを得るための望ましい質問なのです。
この質問に答えるには、まず売上を次の要素に分解することが必要です。すなわち、
売上=マーケットの大きさ×当社のマーケットシェア
という要素です。すると、「マーケットの大きさ」と「当社のシェア」に関するデータが必要だということに気がつきます。次に、
「マーケットサイズを大きくできないか」
という設問をします。その答えがNOなら、2番目の問いを設定します。すなわち、
「当社のマーケットシェアを増やす方法はないか?」
こちらもNOなら、
「この製品に解を求める戦略は、とるべきではない」
という結論に至ることができます。このように質問を提示し、必要なデータを集めながら考えていくことで、はじめて本質を突いた答えに至ることができるのです。