それ以上に重要だし問われるべきは、東京都という他の地方自治体とは明らかに異なるところのトップとして、東京都ゆえの特殊性を踏まえた対応をしっかりとやっていく気構えがあるのかです。

 それでは、他の地方自治体と異なる東京都の特殊性は何かというと、当たり前ですが東京都は日本の首都だということです。フランスやイギリスを見れば分かるように、首都がその国の政治に加えて経済の中心でもある場合、首都の国際競争力が強くあってこそ、地方や国全体も栄えます。つまり、東京都は経済面でシンガポールや香港、さらにはニューヨークやパリ、ロンドンといったグローバル都市との競争に勝たなければならないのです。

 そのためには、東京という地域経済の生産性と潜在成長力を高めることが不可欠となります。特に、東京都の人口は2020年がピークと予想されています。オリンピックまでは経済面でも人口面でも話題の面でも東京は盛り上がり続けますが、オリンピックという宴が終わった後は、人口減少と高齢化が急速に進むのです。その状況で世界の主要都市と競争をしなければならないのですから、東京の生産性をどれだけ向上できるかは日本の将来を左右する位に重要な課題なのです。

 そう考えると、政府以上に東京都は構造改革を進めなければいけないことが分かります。特に、改革の成果はすぐに出ないことを考えると、オリンピック後に向けた改革はこれからの数年が勝負になります。分野でいえば、保育や介護、雇用制度の改革はもちろんですが、それ以上に首都として重要なのは高度外国人材や外国企業の誘致に必要な改革です。

 余談になりますが、グローバルファンドのアジアでのヘッドクオーターはシンガポールか香港に置かれていますが、そこのトップの人たちと話していると、多くの人が「もしアジアのヘッドクオーターをどこに置くか自分が自由に選べるなら、東京にしたい」と言っています。東京の食事がアジア一であり世界一だからであり、加えて街が安全で、人々が親切で礼儀正しいからです。

 でも、実際には東京に来ません。その理由として彼らは、税金が高い、様々な手続きが面倒臭い、子どもを安心して通わせられるインターナショナルスクールが少ない、家族で安心してかかれる英語が通じる病院が少ないといった点を挙げています。逆にいえば、改革を通じてそうした点を改善すれば、外国企業や外国人材にとっての東京の魅力は格段に高まるのです。