お彼岸の中日である9月23日(秋分の日)は、人出が鈍る雨だったにもかかわらず、「主婦の店 さいち」(社名は株式会社・佐市、仙台市太白区秋保町)では、今年も2万個以上の「秋保おはぎ」が売れた。そして、その日の夕方には、地元のテレビ局でお客さんがごったがえす風景と社長のインタビューが放映された。

多くのアクセス数を集めた、前回のインタビューでは、さいちが惣菜を始めたいきさつ、惣菜づくりに対する姿勢、従業員の育て方・接し方を中心に聞いた。
『売れ続ける理由~一回のお客を一生の顧客にする非常識な経営法~』(小社刊)でも登場したが、今回は、佐藤啓二社長・澄子専務(ともに75歳)の経営に対する「思い」を軸に話を聞く。

たくさんつくったレシピを破棄
惣菜づくりを口伝えにした理由

佐藤澄子専務 「一人を叱っても、みんなが自分のこととして受け止めてくれるのがうれしい」と語る。

さいちの場合、驚くことに惣菜づくりに関する「レシピ」はない。いわゆるマニュアル型の経営手法は採っていないのである。

澄子専務:実はレシピもずいぶんつくったのですが、投げて(破棄して)しまったんですよ。いろいろなことがありましたから。

佐藤社長:(料理の)特定の先生がいないので、それがネックだったんです。レシピに対する私たちの理解も浅かったし、使い方もよく知らない。それでもそんなものかなと思って、大事にしていました。