「核」を保有している中国や北朝鮮に我々が怯えて外交で不利になっているか、と言えば必ずしもそうとは言えない。単に英語や交渉がスキルとして苦手だったり、成熟社会が故に成長が鈍化していたり、財政難やイノベーションを評価しない風潮などによって経済力が停滞し、立場が劣勢となることはあるだろうが、防衛力の影響は限定的なはずだ。

 日本が国を守るためには、国連を中心とした国際秩序を遵守し、多国間の協調的枠組みをベースとして国際秩序を積極的に支え、活用するための外交努力をするしかないと考える。多様な国と貿易関係や人の交流を確保することで、世界との接点を増やして「貧困と孤立」を生まないようにする。自分の国だけが豊かならよいという発想は捨て、環境問題や難民問題、疾病対策などの医療支援、押しつけにならない程度の途上国の民主化や教育支援など、世界の平和と安定に資する活動に国民の総意でコミットする。

 核や爆弾や軍艦といったハードパワーは一見勇ましく、ソフトパワーは頼りなく見えるかもしれない。しかし、武力に偏っても抑止力は上がらず、ソフトパワーを強めることの方が国を守る抑止力としては心強いのが実は現実ではないか。

緊迫する世界情勢
今こそ冷静に我々の憲法に向き合おう

 最近物騒なニュースが世界情勢を緊迫させている。

 中東ではISIS(イスラム国)の脅威が続き、テロへの恐怖心が世界に広がっている。日本の近隣諸国を見ても、ロシアとの北方領土問題、韓国との竹島問題は依然解決の目処は立たぬままだし、北朝鮮は、今年に入っても核実験やミサイル発射実験を行っているとされている。尖閣諸島周辺の日本領海に中国の船が侵入する事件も増えているし、南シナ海における中国の主張・行動についてはオランダのハーグ仲裁裁判所が国際法に違反するという判断を示したものの、中国側は反発している。

 だが、それでもなお、世界情勢を71年前と比較すれば、21世紀における国対国の直接的な戦争が起きるリスクは明らかに低いと思われる。例えば、「中国が日本と戦争する」と本気で思ってる人がどれだけいるだろうか。もし賭けを持ちかけたら、おそらく大半の人が「戦争しない」に賭けるはずだ。

 そういった事実を踏まえ、我々はもっと真摯に自分たちの憲法に向き合うべきだ。筆者は多くの有識者や活動家、議員や有権者の方々と憲法について議論をしてきたが、おそらく、そもそも日本人の大多数の人は憲法を読んだことすらないと思う。読まずに「変えろ」とか「守れ」とか叫ぶ前に、立ち止まってぜひ読んでみてほしい。すべてのことに言えると思うが、事実に向き合うことなく妄想で批判したり保守したりすることほど無益なことはない。筆者の経験上、政治に関心が強い人の中には、勝手な思い込みで他者を攻撃する人も少なからずいると感じる。

 8月8日、生前退位の御意向をビデオメッセージで表された天皇陛下。天皇陛下もまた自らの歩みを振り返るとともに、この先のご自分の在り方や務めについて思いを致されている。71年前の今日、昭和天皇がラジオで伝えた玉音放送にも今一度耳を傾けてみてもいいかもしれない。

「堪え難きを堪え、忍び難きを忍び」実現を誓ったのは、未来永劫のために平和な世界を開くことだったことを私たちは忘れてはならない。

 今まさに我々が「平和」について考える姿勢が試されている。平和の祭典オリンピックを見るため夜更かしする方もいるだろうが、ぜひその合間にでも皆さんとともに思考してみたいと思う。