「3つの仕事観」を知る

 別に、今の仕事を変える必要はない。

 そのままでいても、あなたは実践していくごとに現在の仕事に手応えを感じ、だんだんとその仕事が「喜び」をともなったものに変わっていく。もちろん、結果的には仕事の形も大きく変わり、あなたが理想としていたものに近づいていくだろう。

「仕事運がよくなる」とは、そういうことなのである。

 まずは「仕事とは何か?」という根本的なところから考えてみよう。

 この種の議論は、あなたもいろいろなところで聞いたことがあるだろう。実際にいろんな立場の人が、いろんな定義で「仕事はこういうものだ」と説いている。

 どんな意見も間違いではない。だが、偏りをなくすためにも、学術的な見地からの考察を見てみたい。

 アメリカの心理学者、エイミー・ルゼスニュースキー博士は、「3つの仕事観」というものを定義している。それは次のようなものだ。

 1.義務としての仕事
 2.評価されるための仕事
 3.天職としての仕事

 並べると「3がいいな」とわかるのだが、「自分の仕事は天職だ」とハッキリ言える人は少ないだろう。

 まず1の「義務としての仕事」について言えば、確かに義務で仕事をしているのは楽しくない。

 しかし「経営者として社員に給料を払うことは楽しくないので、この会社では給料は払いません」とか、「私は寒いのが苦手だから、冬は営業に行きません」というわけにはいかない。仕事して給料をもらっている以上、「義務としてやらなければならないこと」は、どんな仕事にもつきまとう。そうでないと、仕事はボランティアと同じになってしまうだろう。

 2の「評価されるための仕事」も、やはり誰の心の中にもあるものだ。私が研修をやる場合でも、「誰にも喜ばれないし、誰からも褒められない」というのでは、やはりやる気を失ってしまう。

 ただ「評価」について見れば、「新人社員だったら褒められる」けれど「管理職だったら、もうそんなことでは褒められないよ」というレベルの評価はある。現在は管理職になりたがらない若い人が多い。だが、元気よく挨拶をするだけで褒められるのは、新入社員のうちだけだ。経験を積みながら責任ある立場へと成長しなければ、仕事はレベルアップしていかない。

 結論を言えば、1の仕事観や2の仕事観で働いている限り、私たちは本当の意味で「仕事を通して幸福になる」ことはできないのだ。

 だから1と2を超越した、3の「天職としての仕事」というレベルを目指すことは、自分の「流れ」を好転させるために絶対に必要なこととなる。

 では、その「天職」とは、結局のところ何なのだろうか?