非常に強い就職活動への不安
「体験の回避」をする傾向も

 引きこもり本人の回答で特徴的だったのは、就職活動に対する不安だろう。

「就職活動においてうまく自分をアピールできるか不安である」(「ややあてはまる」も含む)と答えた人は、8割を超えたほか、「企業側の人と上手くコミュニケーションがとれるか不安である」「自分の言いたいことを上手く企業側に伝えられるか不安である」「面接などでいい印象を与えられるか不安である」(同)と回答した人が、軒並み70%以上を占めた。

 また、「長い就職活動を乗り切れるか不安である」(同)という回答者も80%以上に上る。中でも、一般の大学生に比べて差が出たのは、「就職活動中の悩みについて、誰に相談したらよいか不安である」(同)といった「サポート面への不安」の高さだ。

 さらに、「今の時期、何をすればよいかわからず不安である」(同)という回答も70%を超えるなど、「準備不足への不安」も示された。

「就職活動に対する自己効力感」についても、「OBやOGから必要な情報を得ること」の質問に「全く自信がない」「あまり自信がない」と答えた人が、合わせて8割近く。「できるだけ多くのセミナーに参加すること」や「家族や親戚、先輩から必要な情報を得ること」「今年の雇用傾向について、ある程度の見通しをもつこと」など、「就職活動に対する自信」の平均点は28点と低く、一般の大学生の35点に比べると、やはり自信のない実態が示された。

 さらに、境准教授が「引きこもりの重要な要因」として注目するのは、「自分にとって好ましくない思考や感情、感覚、記憶などを回避する傾向」だ。平均点が低いほど、こうした体験の回避の傾向が強くなる。引きこもり本人の平均点は29点で、一般の大学生の39点に比べると、体験の回避の傾向が強いことがわかった。

「体験の回避の傾向が強いと、就職活動への自信は弱くなります。これらの要因は、心理療法の1つである認知行動療法で変容可能。発達障害の人が多いことを考えると、本人の背景に応じた支援を受けることが重要です」

 こう提言する境准教授は、今年度もさらに詳細な因果関係を調査する予定だそうで、福祉的支援をはじめとした、多様な支援を必要としている引きこもりメカニズムの解明に期待したい。

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