女子受験生に見られるいくつかの傾向
全国的に新型コロナウイルス感染者数が増加し、第3波の到来を日本医師会の会長が口にするなど、受験生には過酷な環境が続いている。東京都は11月末から飲食店の夜間営業の短縮を再度要請するなど感染拡大の防止に躍起になっている。年明けにはどのような状況になっているのか、全くもって予断を許さない。
前回に続き、10月に実施された中学受験の4つの模試(SAPIX、四谷大塚、日能研、首都圏模試)で記された志望校の志願状況から、今回は2021年首都圏入試の女子受験生最新情勢を見ていこう。
この秋の女子校の学校説明会は、そのほとんどがオンラインで実施された。小5の時に学校説明会や文化祭などに参加していれば学校の雰囲気に触れる機会もあったのだろうが、現状では志望校に足を踏み入れないまま入試に臨むことになる女子受験生も少なくないと思われる。
それでも第一志望校に加えて、併願する学校も選ばなければならない。10月模試への参加状況を見る限り、2020年入試並みに2021年も受験生が集まると見込まれている。
前回、全体の傾向として「安全志向」「日大系列校人気」「川を越えない」の3点を挙げた。女子受験生にもこの傾向は当てはまるのだが、女子の場合にはもう何点か加えておく必要がありそうだ。
まず、女子の上位校受験生に人気の青山学院の入試日の変更である。2020年はいつもの2月2日が安息日である日曜日だったため、入試を3日にずらしていた。それが2021年は元の2日になる。
次に、女子伝統校の人気の復活である。特に、山脇学園と跡見学園が目立つ。背景には親の世代のブランド校が再評価を受けている様子が垣間見える。
そして、女子受験生により強く表れる隔年現象の傾向である。前年の実倍率が高いとどうしても敬遠気味になるのだ。ここはあえて逆張りで、前々年の倍率も見て考えることも念頭に置いた方がよいのかもしれない。
もう一つ付け加えるなら、共学の進学校への志願動向である。成績上位者に女子生徒が並ぶのはいまや珍しくないのだが、新興の共学進学校では、英語を活用する能力に優れている女子生徒がけん引役となっている例が珍しくない。女子受験生の上位層が、共学校に対してどのような向き合い方を2021年はするのかという点が興味深い。