「文章が苦手。書いている時間がツラい。メールも企画書もできれば書きたくない…」
「最初の1行を書き出すまでに、ものすごく時間がかかる…」
「文章がうまく伝わらない。しゃべって伝えることはできるのに…」
「書き直しを何度も命じられて、いつまで経っても書き終わらない…」
「数千字のレポートなどは、文字が埋まらなくて苦痛だ…」

そうした文章を書く人の悩みを全て解決する注目の新刊『10倍速く書ける 超スピード文章術』
本連載では、そのエッセンスをたっぷり紹介する。

なぜ、「1日300字」しか書けなかった超遅筆家の著者が、「1時間3000字」「5日で本1冊」の超爆速ライターに変わったのか。メール、企画書、ブログ、レポート、本1冊まで、あれこれ悩まず「とにかく速く書き終える」ための全技術をお伝えしていく。

なぜ、結婚式のスピーチは感動するのか?

友人や親族の結婚式に出席されたことのある方は、多いでしょう。
心から感動するスピーチは、えてして「話し方」のうまくない人から生まれます。

私が今でも覚えているのは、ある新婦の叔父のスピーチです。

子どもの頃からずっとかわいがってきた姪っ子が、結婚することになった。彼は、亡くなった新婦の父親代わりで、大変な緊張の中で登壇されました。

出てくるなり、しどろもどろ。原稿を用意していたのに、壇上で真っ白になってしまったのでしょう。

でも、開き直って、新婦との思い出や、新婦の本当の父親がどれほど娘をかわいがっていたかを、とつとつと、涙ながらに語り始めた話のすべてが本当に素晴らしく、会場のあちこちですすり泣く声が聞こえました。

あのとき、私や会場の人たちは、決して「話し方」がうまくて感動したのではありません。
他の誰にも話せない、その話の「内容」に感動したのです。

どこかで聞いたことがあるような、「冠婚葬祭のスピーチの仕方」などの本に書いてあるような内容だったり、芸人さんのような「話術」を駆使した語り手の自己満足を感じさせる話し方だったら、私は感動しなかったでしょう。

「中身のない文章」と「つまらないスピーチ」の共通点聴き手は、「話し方」ではなく「内容」に感動するもの

実は、文章も同じです。
「どう書くか」より「何を書くか」が、はるかに重要です。
大切なのは、文章の「表現」ではなく「中身」、つまりは「素材」なのです。

プロの作家やエッセイストのような「文章表現」や「レトリック」は、ビジネスで用いる文章には必要ありません。「書き方」にばかり気を取られて肝心の「素材」がない文章は、本末転倒です。

では、具体的には、どんなことが文章の「素材」になりうるのでしょうか?