金正恩、核ミサイルへの執着から読み取れる「3つの思惑」9月15日のミサイル発射後の様子 写真:労働新聞(電子版)より

北朝鮮は、ICBM搭載用の水爆実験に「完全に成功」したと発表、二度にわたり日本上空を通過するICBM(大陸間弾道ミサイル)を発射するなど挑発行為をエスカレートさせている。トランプ米大統領は国連演説をはじめツイッター等でも軍事力行使も辞さない発言を繰り返し、国連は石油輸出制限に踏み切るなど制裁も強化されているが、北の核開発は止まりそうにない。金正恩・朝鮮労働党委員長が核兵器に固執するのはなぜなのか。(デイリーNKジャパン編集長 高 英起)

台頭する「ICBM4人組」
金正恩氏の側近グループ形成

 6回目の核実験が実施された数日前の8月29日、「火星12型」が発射された際に北朝鮮メディアが報じた視察時の写真には、金正恩氏を囲むように、4人の人物の姿が見られる。

 その4人とは、金正植(キム・ジョンシク)軍需工業部副部長、李炳哲(リ・ビョンチョル)党中央委員会第1副部長、張昌河(チャン・チャンハ)国防科学院長、全日好(チョン・イルホ)党中央委員。

 この4人こそが、弾道ミサイルの開発をリードしてきたとされる「ICBM4人組」あるいは「弾道ミサイル4人組」とでも呼ぶべき幹部たちだ。

 中でも金正植氏は弾道ミサイルの専門家として知られ、空軍司令官出身の李炳哲氏はミサイル開発の行政上の実務を差配しているとされる。金正恩氏がミサイル関連施設の視察をする際、4人のいずれかが必ず同行していた。