「こんまり」こと近藤麻理恵は、今や「片づけ」プロフェッショナルとして、世界で最も知られる日本人の一人となりました。麻理恵さんの世界進出の戦略を手掛けてきたのがプロデューサーであり夫でもある私、川原卓巳でした。日本で活動していた彼女が、どのような流れで世界を舞台に活躍することになったのか。
初めて書き下ろした書籍『Be Yourself』では、麻理恵さんと二人で歩いてきた「自分らしく輝く」ための道のりをご紹介しています。特別なスキルや努力は必要ありません。あなたが、あなたらしく戻ること。そのためのステップをまとめました。本記事では具体的に、あなたがあなたらしく輝くためのメソッドをご紹介します。(構成:宮本恵理子)

自分らしく生きるのにムダな悪癖、それがマウンティングだ!Photo by 千倉志野

脱マウンティングのススメ

 ハッキリと言っておきたいことがあります。

 自分を活かすゴールとして、「一番」を目指す必要はありません。

「二番や三番で十分だよ」と言いたいわけではなくて、ランキングそのものに意味がないのです。自分を活かすのに、上も下もないと思いませんか?

 僕たちは慣れすぎてしまったのだと思います。「上に行くほどいい」という考え方に。でも、実際はそうではなく、それぞれの場所にそれぞれの幸せがある。

 山登りを想像してみてください。

 誰しも最初は頂上を目指して登り始めます。ただし、必ずしも頂上まで到達する人だけが偉いわけではありません。「この山は7合目の景色が最高で、山小屋のご飯がうまいんですよ」といった情報を伝えられる人にも価値がある。てっぺんを極めた人だけが誰かの役に立つわけではなく、むしろ圧倒的に多くの人の役に立つのは、もっと身近な目標を達成した人の方です。

 7合目まで登った人は、「僕も7合目まで行きました!」という人と気が合って、「あっちの湖は行きましたか?」と交流できたりする。

「Be Yourself」で生きていく世界にマウンティングは不要です。

 どちらがすごいか競うのではなくて、「どっちもいいよね」とお互いの違いを認め合える世界の方が、ずっとヘルシーでピースフル。僕はそういう世界をつくりたい。

 そんな世界では、「自分には価値がない」と思い込んでいた人たちも、きっと息を吹き返すはずです。子育てに一生懸命の主婦・主夫のみなさんであれば、子どもにその子らしい人生を歩ませるという、その人にしかなしえない素晴らしい価値を生み出しています(事実、子育てはスーパーマルチタスクで非常に高度な仕事!)。

 麻理恵さんだって、これまでの評価軸にとらわれていたら、「片づけを極める」という行動はしなかったでしょう。言ってみればただの片づけ。そこで一番になるという発想すらなかったと思います。

 そうじゃなくて、「わたしはこっちの場所で生きていく」と新しい野原に根を張ったら、花が咲いたんです。

 時には極めていないくらいの方がちょうどいいことだって、往々にしてあります。極めてない方が身近に感じられて、ちょっとした時に気軽に相談しやすい。それだって素晴らしい価値なんです。

 だからこそ、下手の横好きでも恐れずに「好き」を続けていけばいい。

「ちょっと詳しいです」くらいでもいいから、まずは自分の好きを活かしましょう。そんなあなたの力を待っている人もいます。

 ひとまず、誰かと自分の差を測ってはため息をつく苦しさとは、もうサヨナラ。息を切らさず歩いていける場所で、生きていきましょう。

自分らしく生きるのにムダな悪癖、それがマウンティングだ!