幅広い事業領域を持つ総合重機メーカーの中で、倒産の危機に瀕したことから、いち早く“効率化”を進めてきた住友重機械工業。現在も進行中の事業構造の改革により、少しずつ業態を変えてきた。

 4月1日、住友重機械工業で、24年ぶりに事務系出身の別川俊介社長による新体制が発足した。

 その裏側で、ひっそりと二つの事業構造改革が動き出した。すでに中村吉伸社長(現会長)の時代に決められた機関決定なので新味はないが、象徴的な動きである。

 一つは、住友重機械で物流システムや機械式駐車場などを中心に手がけてきたロジスティクス&パーキングシステム事業を切り出し、100%子会社である住友重機械エンジニアリングサービスに部門ごと継承したことである。

 もう一つは、住友重機械全体で機械事業の構造改革の一環として、2002年にいったん分社化した住友重機械テクノフォートを再び本社に吸収・合併したことである。こちらの100%子会社は、プレス機械などの産業機械事業を展開してきたが、あらためて量産機器事業部に統合された。

 別川社長は、こう力を込める。

「まず、射出成形機、変減速機、建設機械などの量産機械系事業の収益力を回復させる。次に、産業機械や造船などの重機械系事業の構造改革がある。さらに、14年4月以降を対象とする次期中期経営計画の策定が重点項目になる」

 住友重機械は、造船・重機大手のカテゴリーで“最も利益率の高い会社”として知られてきた(図1)。同じカテゴリーに属す三菱重工業、川崎重工業、IHIなどの売上高営業利益率が5%を切る水準で推移するのに対し、03年度以降は5%を優に超える数値をキープし続けている。

 その最大の要因は、1998年度から3期続けて純利益で赤字となり、“聖域なき事業構造の改革”を断行してきたことにある。