米国発の金融危機が日本の各地にも波及、地方自治体の財務担当者が不安な日々を過ごしている。自治体に多額の投融資をしているフランス、ベルギー系のデクシア・クレディ・ローカル銀行に、公的資金の注入が決定したからだ。

 「担当者がやって来て安心してくださいと言われたが、債権をどこかに売却されてしまうのではないかと気が気でない」

 公共施設の建設費用に充てるため、デクシアから十数億円の融資を受けたある地方自治体の財務担当者は、不安な心境を吐露する。

 融資だけではない。デクシアは、自治体が発行している地方債の引き受けも行なっている。債券の売却リストを作成したものの、マーケットで値が付かなかったため断念したとの観測まで流れたこともあって、自治体関係者は戦々恐々としているのだ。

 デクシアは、フランスの政府系金融機関をルーツに持つ、地方自治体や公共機関向けの投融資分野で世界最大の金融グループ。10年を超える超長期の投融資や公共インフラ向けの融資などを中心に手がけている。

 それが、破綻したリーマン・ブラザーズ向けの債権額の多さなどが嫌気され株価が下げ止まらず、資金繰りも悪化。

  フランス、ベルギー政府から64億ユーロ(約8700億円)の公的資金を受けることになったほか、ルクセンブルクも含めた三政府によって、銀行間取引や法人借り入れの際の政府保証が付けられることも決まった。

 ところが、こうした信用を高めるはずの施策が、逆に「そこまで悪いのか」と不安感を増幅させる結果となってしまっているというわけだ。

 デクシアが日本に進出したのは2006年12月。以降、積極的に自治体にアプローチし、これまでに45の自治体に融資、地方債の購入なども含めると08年3月末時点で68の自治体と取引がある。その総額はなんと1兆5625億円に上るというからいかにも大きい。

 そのためデクシアでは、各自治体にファックスを送ったり、担当者が出向いたりして状況を説明、「他行に先駆けていち早く手を打っているので安心してください」と火消しに躍起だ。

 自治体側には、財政投融資改革に伴って資金調達を民間にシフトせざるをえないという事情もあり、デクシアの登場はまさに救世主にも映った。それだけに、一難去ってまた一難の事態に悩みは深い。

(『週刊ダイヤモンド』編集部 田島靖久 )