週刊ダイヤモンド 過払い金返還請求は、数え切れない多くの人にとって、借金問題から解放され、新たな人生のスタートを切るものとなった。

 その過払い金返還請求の裏方として活躍したのは、たくさんの弁護士たち。過払い金返還請求がきっかけで、初めて弁護士と話をし、解決を依頼したという人も多いだろう。

 だが、その弁護士を取り巻く環境は激変している。

 昔は「苦節10年」と言われ、エリート中のエリートだった。さぞかし弁護士は難解な法律書を手に個人間、企業間、はたまた国を跨いだ紛争事をみるみる解決し、その専門性から高給を取っているかと思いきや、必ずしもそうではない。「一生食うに困らない」なんてことはないのだ。

 その代表例が新人弁護士たち。やっと試験に受かったひよっこ弁護士たちには多くの難関が待ち受ける。

 法科大学院制度がスタートし、弁護士人数は急増。就職難なのだ。「イソ弁」(法律事務所に勤務する弁護士)として働くことさえ、なかなか難しい。

 したがって、年収はなんと200万円という新人弁護士も存在する。しかもそれが5人に1人というから驚きだ。

 しかし、「腐っても弁護士」(某弁護士)。法律のプロだ。企業経営者も個人としても、弁護士は困ったとき存分に働いてくれる力強い存在だ。かかりつけの医者ならぬ、「かかりつけの弁護士」を見つけておくことは重要だ。

 ところが、弁護士は一般庶民にとっては遠い存在。しかも費用がいくらかかるのかわからない。

 そんな人のために、法テラスや弁護士会、地方自治体が役に立つ。さらに「弁護士ドットコム」という便利なサイトも忙しいビジネスマンには力強い味方となる。

 特集内では弁護士費用の相場も提示した。弁護士にお世話になるときはいつ来るかわからない。いざとなったときに、相場くらい頭に入れておいて損はないだろう。

 また、頼れる弁護士の見分け方を取材を通してまとめた。弁護士も色々だ。しっかり弁護士を見分ける目をもっていないと、自分の抱えるトラブルを満足の行く形で解決することは難しくなる。

 高齢化社会では、相続や遺言の分野で、一般市民にも弁護士と接する機会は増えるだろう。また企業にとっても労働問題などのほかに、予防法務の意味で弁護士の必要性は高まる。

 特に「弁護士なんて1人も知らない」という人は、ぜひ本誌を参考にしていただきたい。

(『週刊ダイヤモンド』編集部 片田江康男)