営業、説明会、発表会……。社外プレゼンはビジネスパーソン必須のスキル。ところが、多くの人が苦手ではないでしょうか?そこで、ソフトバンクで孫正義氏のプレゼン資料をつくった著者が、秘伝の「社外プレゼンの資料作成術」を全公開。本連載では、その「シンプル&ロジカル」かつ、相手の心を動かす、「超」実践的なノウハウをお伝えします!

「実績」「客観的根拠」「誠意」

 社外プレゼンでは、必ず聞き手の「信頼」を勝ち取るスライドを用意する必要があります。
 社外プレゼンでは、聞き手は基本的に「信用していいのか?」と懐疑的なスタンスでいます。その懐疑心を放置したまま、いくら商品・サービスの魅力を伝えても、相手の心には届きません。懐疑心を解いてもらうのが、プレゼンで結果を出す大前提なのです。

 そして、信頼を得るにも「型」があります。下図の3つの「型」です。

「商品説明」をする前に絶対にやっておくべきこと<br />――100%結果が出るプレゼン資料の作り方

 まず、「実績」です。
 一口に実績と言っても、さまざまなものがあります。「シェアNo.1」「利用者10万人突破!」などと販売実績を数字で訴求する方法もあれば、取引先の了解を取ることが前提ですが、その商品・サービスを導入した有名企業名(許可を取ったうえで企業ロゴで掲載すると視認性が高く効果的)を掲示することで信頼を勝ち取ることも可能。あるいは、「創業50年の実績」などと会社の信頼性を謳うのも有効です(下図(1)参照)。 

 また、テレビ・新聞・雑誌などの掲載実績も信頼を勝ち取る材料になります。その場合は、メディアの許可をとったうえで、「放映画面のキャプチャー画像」や「新聞紙面・雑誌誌面の画像」とともに、メディアのロゴを添えると非常に効果的です(下図(2)参照)。

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「科学的根拠」を示すのが王道

 次に「客観的根拠」。これも、「信頼」を生み出す重要な要素です。
 科学的根拠を打ち出すのが王道。ダイエット商品であれば「医学的に効果が証明されている(データ必須)」といった科学的根拠を明示すると信頼を得ることができますし、さらに、著名な医師の推薦コメントをスライド化できれば強力です。また、「利用者の声」も「信頼」を勝ち取る重要な要素です。

 そして、最後に「誠意」。プレゼンテーターの人間性や企業の姿勢に「誠意」があると思ってもらうことが、信頼に直結します。これは、普段の立ち居振る舞いや企業活動のあり方に左右されるものですが、「5年保証」「効果がなければ返金します」などというスライドを用意することで「誠意」を示すこともできるでしょう。

 なお、状況によって「信頼」を得るスライドは異なりますので、ご注意ください。たとえば、「創業50年」など会社の実績を伝えるスライドは、説明会プレゼン以外で使うことは、ほぼないでしょう。なぜなら、新規の営業先であれば、プレゼンに入る前にパンフレットで会社説明をするはずですし(会社説明はスライドではなく紙ベースのほうが信頼感を得られます)、すでに取引のある営業先にわざわざ会社の実績を伝える必要はないからです。

 このように、相手によって、あるいは状況によって、適したスライドを使うように心がけてください。

「商品説明」をする前に絶対にやっておくべきこと<br />――100%結果が出るプレゼン資料の作り方前田鎌利(まえだ・かまり)1973年福井県生まれ。東京学芸大学卒業後、光通信に就職。「飛び込み営業」の経験を積む。2000年にジェイフォンに転職して以降、ボーダフォン、ソフトバンクモバイル株式会社(現ソフトバンク株式会社)と17年にわたり移動体通信事業に従事。各種  営業プレゼンはもちろん、代理店向け営業方針説明会なども担当。2010年にソフトバンクグループの後継者育成機関であるソフトバンクアカデミア第1期生に選考され、事業プレゼンで第1位を獲得。孫正義社長に直接プレゼンして幾多の事業提案を承認されたほか、孫社長のプレゼン資料づくりも多数担当した。その後、ソフトバンク子会社の社外取締役や、ソフトバンク社内認定講師(プレゼンテーション)として活躍。2013年12月にソフトバンクを退社、独立。ソフトバンク、ヤフー、株式会社ベネッセコーポレーション、大手鉄道会社などのプレゼンテーション講師を歴任するほか、全国でプレゼンテーション・スクールを展開している。著書に、『社内プレゼンの資料作成術』『社外プレゼンの資料作成術』(ダイヤモンド社)。著者公式サイト:http://www.kamari-maeda.com/