コロナ禍に振り回される受験生
新型コロナウイルス禍で春先から休校が始まり、夏にかけてオンライン授業や分散登校による対面授業など、どの学校でも生徒は変則的な学習を余儀なくされた。夏休みは短縮され、2学期が始まる9月から通常の対面授業が全面的に再開されている。
受験生とその保護者向けの学校説明会も、春から夏にかけてはオンラインで開催する学校がほとんどだった。9月から来校して行われる説明会も人数を絞って再開されてきたが、現状でも過半数の学校はオンラインでの開催にとどまっており、その傾向は女子校で強い。感染防止の観点から、例年通りの説明会が開催できず、実施方法や内容に工夫を凝らしながら受験生の期待に応えようとしている。
慎重な姿勢を崩さない女子高に比べて、男子校はリアル開催に踏み切る学校が比較的多い。毎週のように開催している巣鴨のように、校内見学も含め開放的な学校も出てきた。
講堂や体育館で行われる数百人単位の学校説明会では、学校長による沿革や教育理念の説明に続いて、コロナ休校期間中の取り組み、行事や部活など学校生活の紹介、入試問題の各教科主任による解説、受験を申し込む際の注意事項などが1時間程度で行われる。その後、校内の施設見学や個別相談なども実施され、2時間ほどの構成というものが一般的だ。
Webによる開催では、学校サイト上で自由に視聴できる麻布のような例もあるが、ほとんどの学校は事前登録を求め、期間や時間を限って実施する形が多い。オンデマンド方式のもの、Zoomによるライブ参加など学校によってさまざまだ。
Webではリアルな説明会で行われる内容に加えて、生徒がビデオで登場するなど学校によってさまざまな工夫が凝らされている。休校期間中の遠隔授業の経験が生かされたと思しき学校もあり、各校の構成内容を比較すると興味深い。大妻や東邦大学付属東邦など、リアルとWebを併用して、できるだけ多くに届けようとしている学校もある。
“百聞は一見にしかず”は、志望校選びでも当てはまる。学校の雰囲気は実際に校門をくぐってみないと分からない。学校文化は生徒が主体となって形作るものであり、それが教員の姿にも反映されていく。訪問時のちょっとした気づきや違和感などは大切にしたい。真実は細部に宿るものだ。
第一志望校でも併願校でも、子どもが6年間通う学校を偏差値だけで選ぶことは大変に危険であり、校風が子どもに合っているかを見極めたい。
在校生に触れる機会として、どの学校にとっても二大行事である体育祭や文化祭が最も適しているのだが、今年はいずれも一般公開も含め中止となる学校が多く、受験生は貴重な機会を奪われてしまっている。
先輩後輩の縦のつながりは部活動でも培われるが、男子校の場合、今年は中止となった開成が典型だが、体育祭の思い出は生涯続く。女子校の場合は文化祭がそれに該当するだろう。ここで先輩の姿に触れて、志望校を決めることが往々にしてある。
今年の秋の学校説明会はどのような状況だったのか。9月から10月にかけて行われた人気校の様子をこれからご紹介していきたい。