午前は前年並みでも午後が増加の3日
東京では、3日午前に国立大の付属校と都区立の中高一貫校が、一斉に一度だけの入試(適性検査)を行っており、毎年1万人弱が受検している。
全体的に緩和傾向にあるようで、国立8校(お茶の水女子大学附属、筑波大学附属駒場、筑波大学附属、東京大学教育学部附属、東京学芸大学附属小金井、東京学芸大学附属竹早、東京学芸大学附属世田谷、東京学芸大学附属国際)の受検者合計は、21年比▲27人の2307人となっている。中でも、男子校の最高峰である筑駒が同▲82人の479人と500人割れになったことが大きく響いている。
千代田区立九段と東京都立10校(小石川、白鴎、両国、桜修館、富士、大泉、武蔵、三鷹、立川国際、南多摩)の公立校受検者合計は、21年比▲358人の7393人となっている。平均実倍率も4.34倍と5倍を大きく割り込んだ。両国と大泉が高校からの募集をやめたため、合格者数が80人増えたことも実倍率緩和の一因となっている。
その分、私立校の受験生が増えているのだろうか。図3のように、22年の3日午前は1万1286人で、18年比で15.2%増加している。とはいえ20年に大きく増やしたあと、20年比▲1.2%、21年比+1%と、この3年間はほぼ前年並みが続いた。
3日の東京で、1回だけの入試を午前に行う私立校は慶應義塾中等部のみである。男子は21年と同じ891人、女子は▲23人の372人が受験し、実倍率は男子2.93倍、女子3.23倍となっている。
21年比で50人以上受験生を増やした学校[入試名](22年の受験者数・実倍率)は、69人増の早稲田[第2回](911人・3.64倍)のみである。40人以上で見ても、49人増の海城[一般〈2〉](1006人・3.3倍)と成城[第2回](735人・3.31倍)、44人増の学習院女子[一般生B](287人・6.38倍)、42人増の立正大学付属立正[第3回](66人・3.88倍)があるくらいで勢いがない。
一方、3日も午後入試の伸びが大きい。22年は5254人となり、20年比で11.8%増、18年比なら72.3%も増えている。午前の受験者数を100として18年から22年の午後の受験者数を見てみると、31、39、41、43、47と着実に増加しており、3日午後入試にも定番化の勢いを感じる。共学校はCランク1209人、Dランク1260人と偏差値50台の中堅校がボリュームゾーンで、男子校と女子校もDランクが圧倒的に多い。
では、どの学校の入試の人気が高かったのだろうか。21年比で50人以上受験生を増やした学校[入試名](22年の受験者数・実倍率)は、58人増の実践女子学園[第5回午後](266人・5.43倍)、54人増の開智日本橋学園[第3回](409人・10.5倍)、50人増の暁星[第2回](472人・12.29倍)のみだった。40人以上で見ても、46人増の淑徳巣鴨[第3回スカラシップ](198人・7.92倍)、45人増の広尾学園小石川[第4回本科・ISG](409人・12.4倍)と多くはない。いずれも高い実倍率で、狭き門である。新設された女子聖学院[第5回]は46人を集め、実倍率1.48倍だった。
23年入試の日程は5月の連休明けには出そろう。午後入試を効果的に活用して多くの受験生を集めようという各校の動きが見られるはずで、どのような入試パターンを組むかは、親の腕の見せどころとなる。ちなみに、23年入試から共学化する東京の女子校は目黒星美学園(サレジアン国際世田谷)、千葉では流通経済大学付属柏が中学校を開校予定となっている。