学年順位は公表しない伝統

――在学生の方に聞くと、桜蔭は優等生文化で、何でも子どもたちは一生懸命やると。あるお母さんは「英語の平均点が確か90何点のはずですよ」とおっしゃっていました。

齊藤 それは中1の最初ですね(笑)。差がないわけでは全然ないですけれども、真面目にやるのが本流だなという意識を持っている生徒が多いと思います。

――他に聞いたところでは、親に東大卒や医師が多いというのですが、いかがでしょう。

齋藤 そんなことはないと思いますよ。親が医師というのではなくても医学部を志望する生徒も多いですし。

――親子の距離の取り方についてはどう思われますか。

齊藤 中学受験勉強の時には父母と一緒に取り組んでおられますが、入学後から親子の距離の取り方が難しいかもしれません。一昔前ですと、親御さんよりも生徒の方が入学後はしっかりしてきて、「放っておいて」となりました。最近では、世の中全体がそうなのかもしれませんけれども、お互いに距離が取りにくいのかなという印象があります。

――「私、学校で輝けない」という言葉が学校ではやっていると聞いたことがあります。

齊藤 本校に入学される生徒さんは、とても自信がある方が多いと思うのです。小学校では成績トップで輝いていた人が、入学後優秀な友人に囲まれて自信を持てなくなることもあるのかなとは思います。

 入学から卒業まで定期試験の順位は発表しません。中3から得点分布表は公表するので、だいたいの自分の位置は分かると思います。また、外部模試を受ければ全国的な順位なども分かりますし。

 順位を出さないと、どこまでやったらいいのか分からなくて不安になることもあるかと思いますけれども、優秀な生徒は妥協することなく、どこまでも自分で勉強しています。

――灘の場合ですと、小学校の時から生徒はチヤホヤされてきたので、チヤホヤしてやらなければいけない、と言われました(笑)。男の子と女の子はその辺が違うのでしょうか。

齊藤 それは分からないですが、中高は自分の力を蓄える時期ですし、みんな頑張っていますから、必要以上にチヤホヤすることはありません。