森田祐二(もりた・ゆうじ)
関東学院中学校高等学校校長
1963年生まれ。愛知大学文学部英文学科卒業。名古屋学院中学校・名古屋学院高等学校(現 名古屋中学校・高等学校)に英語科専任教員として奉職。2006年同校進路指導部長、07年高校教頭、14年中学教頭、17年中高校長にそれぞれ就任し、20年学監も兼務。21年4月から現職。
初めの一歩は「メディカルプログラム」から
――前回、STREAMを軸にして、学園のこれからの姿を示していくというお話をうかがいました。最近、何かこれに関連するようなイベントは行いましたか。
森田 11月2日には、知人を通じて知り合った順天堂大学医学部主任教授で、小児科外科医である山高篤行先生にお願いして、講演会を行いました。医師を目指す生徒を集めて立ち上げたメディカル(医学科)プログラムの一環です。保護者も含め、60人ほどが参加しました。
――広尾学園は医進メディカルというコースを設けていますが、こちらは在校生の中から希望者を集めたのですか。
森田 そもそも潜在的にいた医学科志望者に対して、学校としてバックアップするような体制を作ろうと考えました。こうした講演会の他にも、医学科志望者向けに相談会や小論文・面接対策なども行っていきます。昨年は10人が医学科に合格しています。
山高先生は横浜出身で、小学生のときは神童を自任していたそうです。ただ、麻布中学に進学したところ、すごい同級生がたくさんいて挫折も経験され、後に順天堂大学医学部に進学されました。そしてラグビーと出合い、入部したことで人生が変わったと話されていました。部長が小児外科医の恩師でもあったそうです。
――小児外科医というのも保護者には受けがよさそうです。
森田 いまでも手術前にはたくさん勉強するのだそうです。そんなお話を聞いて、「自分も山高先生のような医師になりたい」と感化された生徒もいました。
――そういう人を見てからの動機づけは大切ですね。
森田 前任校では医学部を希望されるご家庭が多くなってきたこともあり、それにきっちり応えていったところ、上位の国立大にも合格するようになっていきました。
――「人」を軸にした取り組みは他にもありますか。
森田 本校には若手から中堅の教員による「探究研究チーム」があります。他者への思いを具現化するため、「探究」では人に焦点を当てています。自己が変容するきっかけにしてほしいと、社会問題に取り組む人に会いに行ってその熱量を感じるため、高1では全生徒が20人ずつのグループに分かれ、2泊3日の探究ショートツアーを行います。
――それは楽しそうですね。
森田 中3では、地域の問題点を発見して課題とする「観光地ロゲイニングマップ」を制作します。
先日は、「SDGs Quest みらい甲子園」というコンテストの196チームが参加した首都圏大会で、最優秀賞をいただきました。こうした活動を通して、自分が社会から必要とされているという自己評価を高めていきたいと思います。