そもそも、悩みの原因や理由が、会社の関係者には相談しにくい内容なのです。具体的に挙げると、その悩みの原因や理由の多くが、家族のこと、恋愛や結婚を含めたパートナーのこと、お金関係のこと、業務の成果に関すること、社内キーパーソンとの人間関係のことなどですから、会社の関係者には相談しにくいのです。

 人事労務担当者が見ている社員は、会社にいる時の個人です。個人が持つ24時間のうち、会社にいるのは8時間程度、すなわちその人の一部を見ているのです。そして、悩みの原因が会社にいる間に発生しているとは限らないのです。

 残りの16時間に属する家族のこと、パートナー、お金関係のことなどのプライベートなことで悩んでいて、その影響がたまたま会社にいる時間に、症状として身体に出ているだけかもしれません。

 そのような状況で、会社の関係者である上司や人事労務担当者に相談できるでしょうか。私だったら相談できないです。仮に相談したとしても、相談された方が困るのではないか、とも考えてしまいます。

 加えて、業務の成果に関すること、社内キーパーソンとの人間関係のことであれば、もっと相談したくない、と考えるでしょう。それは、会社の関係者に話すことが自分の評価に影響が及ぶのではないか、その後、働きにくくなるのではないか、と想像するからです。その想いは、ちょっと怖さに似た感情のようにも感じます。