池上正樹
第192回
深刻な状況に陥っているにも関わらず、公的な支援機関の“ハードル”に自らを合わせられなかったり、支援機関の思想に合わずに、支援からこぼれ落ちていく引きこもりたちがいる。彼らはやる気を持っていても、そうした理由を背景に出鼻をくじかれることが少なくない。

第487回
不登校傾向にある小中学生は、小学校入学前の幼少期に保護者がしつけなどを厳しく意識してきた家庭に多いという結果が石巻市教委が保護者を対象に行った調査から明らかになった。実はこの調査、設問内容について保護者から批判を浴びている。

第191回
3月21日に開催された『ひきこもり大学 in 神戸「ひきこもり経済学」』には、約120人の参加者が詰めかけた。しかも、そのうち「半数以上が当事者」だったというほど、筆者が知る限りでも前例のないくらい数多くの当事者が参加する会となった。

第190回
島根県がこの3月に公表した「ひきこもり等に関する実態調査報告書」によると、引きこもる人の年齢は、40歳代が最も多いことがわかった。しかも、引きこもっている人のうち、40歳以上の中高年層の比率は、なんと半数を超えて53%にも上るという。

第189回
自分たちはテロ予備軍?35歳以上は切り捨て?東京都「引きこもり支援策」の内情
東京都が2014年度から「引きこもり支援策」として、家庭訪問支援に取り組む――そんな方針が、3月5日の都議会本会議の中で明らかになった。しかし、この支援策には大きく2つの問題がある。1つは対象年齢、もう1つは担当部署の問題だ。

第38回
3月10日午後1時30分、東日本大震災の津波により児童74人が犠牲になった大川小学校の遺族が宮城県と石巻市を相手に損害賠償を求める訴訟を仙台地裁に起こした。訴えを起こしたのは、23人の児童の19家族。請求額は総額23億円に上る大型訴訟となる。

第2回
あの東日本大震災から、まもなく3回目の命日を迎える。しかし、今年の「3年」は、遺族たちにとって、他の区切りの命日よりも、実は特別な意味がある。なぜなら、民事訴訟の時効がやって来る日でもあるからだ。

第188回
地域に数多く埋もれ、孤立している引きこもり状態の本人や家族に対し、同じような経験のある当事者や家族が訪問し、支援する――。こうした役割を担う全国初の家族会認定による「ひきこもりピアサポーター」が、このほど誕生した。

第37回
2014年2月23日、大川小学校事故検証委員会が最終報告書についての遺族向け報告会を開いた後、児童の遺族である7人の父親が、記者会見した。そして1人の父親がこう言った。「私は裁判に打って出たいと思います」。

第187回
多様な人たちが対等な立場で「引きこもり問題」に向き合い、対話を通して新たな未来の仕組みを創り出そうという場である『ひきこもりフューチャーセッション「庵 -IORI-」』も、まもなく1年半を迎える。参加者には明らかな変化が表れている。

第186回
最近、注目されているのが「発達障害」の1つである「大人のADHD」という診断名だ。そんな大人のADHDへの「待望の薬」として当事者たちから期待されていた「コンサータ」が、昨年12月20日に承認された。

第185回
2014年は、「引きこもり」たちにとって、どのような年になるのだろうか。これまで、つながりを持ちたくても持てない当事者たちには、“上から目線の支援”が行われていた。しかしこれからは、周囲が当事者の目線にまで下りて、対等な立場で対話することが大事ではないか。

第184回
ある郊外に住む30歳代の男性Aさんは、半年前まで派遣を転々としていたが、いまは身体を壊し、失業保険で家賃を払いながら、求人に応募し続けている。「大阪で31歳の女性が餓死したニュースを見たときつらかった。私も死に場所は決めてあります」

第34回
結局、目新しい情報は、何ひとつ出てこなかった。84人が東日本大震災の津波で犠牲になった大川小学校。1月19日、ついに検証委員会の最終報告書案が示されたが、多くの矛盾や疑問が解明されないままの内容に、遺族からは批判や不満が噴出した。

第183回
20代後半のSさんは、地方の国立大学に入学したものの、調子を崩して不登校になり、人に会うことができない状態になった。そんなSさんが大阪市内で開かれたひきこもり大学の場で講師としてこう切り出した。「私の時間をマネジメントして頂きたい」。

第182回
多くの引きこもり当事者たちは「外に出る理由」を探している。孤立無業者たちにとって、自分の住む地域には、行きたいと思えるような魅力ある場所がほとんどない。だったら、自ら「外に出る理由」を作ってしまえばいいのではないか。

第181回
今年も、弱き者たちの悲劇が相次いだ。中でも、当連載で取り上げた生活保護申請をしながらも断られ、餓死をした大阪府31歳の女性については、「他人事とは思えない」という、彼女と同じ立場にいる人たちからのメールが後を絶たない。

第32回
12月22日、第8回大川小事故検証委員会が開かれた。発足から10ヵ月以上が過ぎた今回、「(児童の避難を促す)教職員の意思決定が、なぜ遅れたのか?」という核心部分の議論が、来年1月となっている最終報告の直前にようやく始まった状況だ。

第180回
「これからクリスマスにかけてが、1年でいちばんつらい時期なんです」。引きこもり当事者にとって、世の中が華やぐクリスマスから年末年始にかけての時期は、世間との格差を感じるだけでなく、居場所を失うため、深刻な状況に陥る人も少なくない。

第179回
長期化・高年齢化する「引きこもり」当事者を年老いた親が養い続ける。そんな家族にまたもや悲劇が起きた。20年以上引きこもっていた44歳の長男が、広島県福山市の自宅で70歳父親に殺害されたのだ。なぜ、悲劇を未然に防ぐことができなかったか。
