
坪井賢一
第60回
ハーバード大学から半年ぶりにボンに戻ったシュンペーターは、ボン大学の講義を再開した。しかし再びハーバード大学へ旅立つ。客員教授として招いたハーバードが、彼を完全に移籍させ、ハーバードの顔にしようとしていたのだ。

第59回
中山伊知郎の留学から1年後、東大農学部助手・東畑精一がシュンペーターに師事するためボン大学にやってきた。東畑は後年、シュンペーターの著作を次々に翻訳・出版したことで知られる農業経済学者である。

第58回
シュンペーターの教え子に2人の日本人がいた。中山伊知郎と東畑精一である。中山はボン大学に留学する前に、東京商科大学にて福田徳三に学んでいたが、この福田はシュンペーターとまったく同じ発想の持ち主だった。

第57回
1926年のシュンペーターは、ボン大学や他大学の講義で多忙を極める中、『経済発展の理論』(初版1912年)の改訂作業も始めた。しかし、そんな彼に悲劇が襲う。相次いで母と妻子を亡くしてしまったのだ。

第56回
シュンペーターは、ボン大学で優秀な学生たちを指導しつつ、多くの論文を次から次へと発表した。シュンペーターは「理想的な教師」と慕われ、教え子たちの多くがのちに著名な経済学者として知られるようになった。

第55回
シュンペーターのボン大学招聘は、シュトルパーの強い推薦によって動いた。2人の交流は、シュンペーターが財務相に就いていた頃からあったようだ。では、シュトルパーとはどのような人物なのだろうか。

第54回
ドイツ経済が相対的安定期に入っていた1925年、シュンペーターはボン大学教授に着任した。ボン大学は、あのベートーヴェンもこの大学の出身であり、彼の啓蒙主義思想を育んだといっても過言ではない。

第53回
ドイツはドーズ案による賠償金分割払いの方法が決まり、経済は安定期に入ったが、賠償金は天文学的な数字のままだった。そこで、賠償金問題はヤング委員長により再検討され、約1000億マルク削減されることとなった。

第52回
シュンペーターがウィーンからボンへ移住した1925年、ドイツは膨大な賠償金問題に悩まされていた。さらにハイパーインフレーションが起き、ドイツ経済は大混乱に陥ってしまう。

第51回
東大助教授・河合栄治郎は満を持してシュンペーターに東大招聘を切り出す。不遇をかこっていたシュンペーターは大いに喜んだ。大物シュンペーターの獲得にドイツ留学中の東大教官たちも祝杯をあげていたのだが――

第50回
銀行頭取を辞任し、浪人となっていたシュンペーターだったが、そんな彼をある日本人が訪ねた。その日本人とは東大助教授河合栄治郎で、彼の目的とはシュンペーターを東大の外国人教師として招くことだった。

第49回
シュンペーター頭取のビーダーマン銀行は、不良債権の膨張で経営危機に陥る。救済に乗り出したのはイングランド銀行の子会社、アングロ-オーストリア銀行だったが、なぜ英国銀行が救済に乗り出したのだろうか。

第48回
財務相から大学教授に帰任していたシュンペーターは、突然、銀行経営者に転じる。学界、政界、学界、そして金融界へと冒険は意外な展開を迎えるが、なぜ彼は金融界へ足を踏み入れることになったのだろうか。

第47回
シュンペーターの行動が謎に包まれている1920年。ドイツでは第2次社会化委員会が召集され、イタリアでは自動車会社フィアットがストライキと工場占拠の舞台となったりと激動の中にあった。

第46回
シュンペーターが財務相を辞任するきっかけともなったアルプス鉱山会社株の買収をしたイタリアの巨大自動車会社フィアット。その買収劇が行なわれた前後のフィアットとイタリアはどのような状況だったのだろうか。

第45回
シュンペーターは、旧友ゾマリーと為替レートの維持を巡って議論を繰り広げた。財務相を辞任した後も交流は続き、ゾマリーは国際金融に関する“知恵袋”という存在になっていたようだ。

第44回
通説では、「アルプス鉱山会社事件」の責任を負わされた“被害者”のシュンペーター。しかし彼の弁明をみる限り、事件を主導したコーラ=フィアットの動向を確信を持って支持していたようである。

第43回
シュンペーターが財務相辞任に追い込まれた原因とされているアルプス鉱山会社事件。だが、実際はバウアーたちにはめられたという説もあり、真相は謎のままだ。今回は、この事件の真相についてを分析していこう。

第42回
独で社会化をすすめたシュンペーターは、墺でも社会化政策を任せられる。しかし、期待に反して社会化にブレーキをかける政策を主張し、バウアーはその豹変ぶりに激怒する。

第41回
オーストラリア共和国の財務相と外務相にそれぞれ就任したシュンペーターとバウアー。彼らは就任後すぐに対立を始め、わずか数ヵ月で辞任することになる。対立の元となったのは、両者の独墺政策案の違いであった。
