長嶋 修
世界保健機関(WHO)が新型コロナウイルス感染症の流行を「パンデミック」だと表明したのは2020年の3月のことだった。瞬く間に国際社会や経済を混乱に陥れたコロナ禍だが、少しずつ収束の兆しを見せつつある。その一方、ロシアがウクライナに侵攻、いまだ解決の糸口は見えていない。そして円相場は下落し、急激に円安が進む事態となっているのだ。円安が急激に加速する背景には、日本のある特殊な状況がある。

新築一戸建ての工事が完了し、いよいよ住宅が購入者の手に渡る「引き渡し」。工期が大幅に遅れる中で、引き渡しを急ぐあまりに、各種不具合や施工不良も頻発する。本来はあってはならないはずの未完状態での引き渡しだが、特にこの年度末は、未完状態での内覧会・引き渡しが目立った印象だ。

マンション、戸建て共に中古住宅市場が拡大を続けている。コロナ禍を経て、低金利や販売戸数との供給バランスの関係などから新築分譲マンション価格が高騰し高止まりする中、リーズナブルな中古マンションのニーズが増加することとなった。その流れは戸建てにも波及し、新築戸建てはもちろん、中古戸建て住宅市場も急成長が続く。マイホームとして中古戸建てを射程に入れる買い主の需要が高まっている状況だ。

さくら事務所では、新築工事中の物件を対象にした「新築工事チェック」サービスを手がけている。専門の知識とスキルを持つ経験豊富なホームインスペクター(住宅診断士)が、第三者の視点で着工から竣工まで建築工事を細かくチェックし、施工不良などがないか確認する検査だ。そこで、実際に行った構造検査のデータを集計したところ、何とその82%に構造的な不具合が見つかっているのである。実施した182棟のうち、150棟の新築戸建てにおいて構造に不具合があるという結果に驚く方も少なくないはずだ。

分譲マンションを購入し所有する際、誰もが管理組合の構成員となる。他の所有者と共同でマンションを維持・管理し、快適な生活環境を整えていかなければならない。マンションの区分所有者(住居などの専有部分を有するオーナー)からなる管理組合が機能してこそ、マンション全体の価値を高めることにつながるからだ。

コロナ禍一色であった2020年は、不動産市場においても緊急事態宣言下に置かれた4月、5月には取引が半減するなどの影響も見られた。ところが落ち込みは一時的な傾向で、宣言開けには再びニーズが増加、現在も基本的に上げ基調で推移している。

中古住宅取引が好調だ。戸建て、マンションとも価格は上昇し、リフォーム市場も拡大傾向にある。コロナ禍で持ち家志向が高まる一方、高騰する「駅前・駅近・駅直結」「大規模」「タワー」といったワードに代表される物件に人気が集中、相対的に割安な新築物件が激減したことも影響しているだろう。

コロナ禍の折、メディアやSNS上で「コロナを回避すべく都市部から郊外や地方に人が逃げ出す」「リモートワークが普及し、地方移住する人が増える」との論調が聞かれたものだ。中には、そうしたことを契機に「不動産市場が大暴落するのではないか」と危惧する声まで散見された。しかし実際のところ、東京都心部から人が減ったという事実はない。

首都圏で今年8月に発売された新築マンション戸数は1940戸で、前年同月比16.2%の増加率となった。2カ月ぶりの増加であり、平均価格は7452万円、平方メートル単価は117.8万円とともに大幅上昇し、契約数も73.0%をキープしている。成約率70%が好不調の目安とされる中、順調に上昇しているようにみえる。しかしこの20年間、販売戸数は縮小の一途をたどっている。縮小の背景には、「都心」「駅前・駅近・駅直結」「大規模」「タワー」に代表される高額物件への人気集中が影響している。

2020年に新型コロナが日本へと上陸し、同年4月には東京都で初の緊急事態宣言が発出された。リモートワークが推奨され、学校の休校、イベント自粛等、感染収束に向けたさまざまな措置が取られてきた。そして2021年7月、東京では4回目の緊急事態宣言が発令され、8月後半には対象地域が拡大するなど、いまだ収束のシナリオは見えてこない状況にある。

東京・港区の麻布十番といえば芸能人なども多く住む、セレブに人気の街だ。しかし地図を見ると、麻布十番駅周辺の緑色の場所は「後背低地」で、地下水位が高く、周辺地より標高も低いため排水性も悪く洪水などの水害を被りやすく、地質も軟弱で地盤沈下の恐れもあり、地震動に弱いとされる。

新型コロナの影響で、日本経済はもちろんのこと、国内の不動産市場についても、大荒れを予想する言論が目立った。特に今年4~5月の緊急事態宣言中においては「新型コロナで都市郊外や地方・海外への移住が増える」「在宅勤務(リモートワーク)の進展でオフィスの空室率が大幅増加する」といった言説がメディアをにぎわしたが、そうした予想は、大きく外れる結果となっている。

不動産市場において、住宅市場は「絶好調」と言っていいだろう。10月の首都圏中古マンション市場は成約件数が3636件で前年比プラス31.2%、10月としては1990年5月のデータ収集以降、過去最高となった。販売が好調であることに加え、新規登録の少なさも手伝って、在庫件数は前年比マイナス16.7%の3万9829件と、11カ月連続で前年同月を下回っている。

今年4月の新型コロナウイルス感染症緊急事態宣言の発令以降、不動産市場に大激変が起きた。インバウンド需要を見込んでいたホテル、飲食店などの商業系は自粛ムードで閑古鳥が鳴く日々が続いた。こうした中、民主党から自民党に政権交代した2012年12月以降、長らく続いてきた不動産市場の上昇基調にもブレーキがかかり、「バブル崩壊か?」といった声も各種メディアから聞こえた。しかし結論を言えば、そうしたことは一切起こっていない。

新型コロナウイルスの影響により、在宅勤務が一気に拡大した。働き方が大きく変わる中、オフィスや住宅などの価格は今後どうなっていくのか。アフターコロナの不動産市況を読み解く。

9月の台風15号に続いて本州に上陸した台風19号は、猛烈な風雨で大きな被害をもたらした。強い台風や爆弾低気圧などの「風水害に強い家」とは、どんな家なのだろうか?

タワマンが建ちすぎて街のインフラ整備が追いつかなかったり、管理などに不備のあるタワマンが散見されるなど、「タワマン=憧れの住まい」という図式が揺らいでいる。しかし、すべてのタワマンがダメなのではなく、今後は「良いタワマン」と「ダメなタワマン」の二極化が進んでいくだろう。

不動産バブルがいよいよ崩壊か――昨年12月の首都圏の新築マンション契約率の大幅悪化を受けて、業界では悲観的な声が上がった。しかし、過去の不動産バブル崩壊時と現在とでは、かなり状況が異なる。

33都道府県で1324棟、およそ1万4440人が退去を迫られる事態となった、レオパレス21の施工不良問題。入居者やアパートオーナーの損失はもちろん、レオパレスの経営にも大打撃が予想される。なぜ、こんなずさんな工事を許す事態となってしまったのだろうか?

「住宅省エネ基準の義務化」が見送られることになった。省エネ性能の高い家は、夏に涼しくて冬は暖かい。つまり、エアコンや暖房器具の使用を大きく削減できるほか、住宅価値も維持されやすいし、住民の健康維持にも大きな貢献をする。なぜこんな「いいことずくめ」の施策を見送ったのだろうか?
