出口治明
第13回
東大の「秋入学」は、企業の国際競争力の強化にもつながる
東京大学が、入試は変えずに入学時期を春から秋に移行させる検討に入った。秋入学は、まさに大学国際化の切り札である。一方で、大学の国際競争力は企業のそれに直結する。この大学の「秋入学」への移行は、企業の採用方針の変革にもつながるのだ。

第12回
復興構想会議の提言は合格点。新首相は、財源確保の道筋をつけること
復興構想会議は、6月25日、4章から成る「復興への提言」を最終決定し、首相に答申した。内容はコンセプションとしては十分及第点が与えられる。新しい首相に最も期待したのは、財源確保の道筋をつけることである。

第11回
復興のワイルドカードとして東北3県を徴税権も付与した特区に!
復興のグランドデザインは、具体策が曖昧なままである。これでは絵に描いた餅になりかねない。復興資金の調達については、人や企業が動きやすくするためのインセンティブが付与された制度にする必要がある。そのためにも、東北3県の特区を思い切って導入することも考慮すべきだ。

第10回
政治を正すには選挙制度を、「衆院は小選挙区のみ、参院は比例代表区のみ」に改革せよ
政治の歪みの根源となっているのは1票の格差である。と同時に選挙制度の改革が必須である。では、どのような選挙制度が望ましいか。それは、衆院は首相指名と予算議決に優先権をもち、参院は衆院のチェック機構という本来の役割に担える仕組みである。

第9回
菅首相の最大の使命は、「若い世代」に責任を引き継ぐこと
内閣不信任決議案は否決されたが、菅首相の退任時期をめぐる攻防はいまだ続いている。しかし退任時期より、この国の命運を次は誰に託すのかが重要である。とりわけ、「若い世代に引き継ぐ」と明言した菅首相の言葉はもっと議論されてしかるべきだ。

第8回
首相のリーダーシップ欠如は、「地方の有力者」が優遇される仕組みから生まれた
G8でも世界に明確なメッセージを届けられなかった菅総理。だか、これは菅氏個人の問題ではない。そもそもこのような政治リーダーを生み出す日本の構造に問題があるのだ。それは地方の有力者がこの国の政治を牛耳る仕組みができあがってきたからだ。

第7回
復興資金を稼ぐ担い手は、民間企業と大都市・東京である
復興資金を調達する方法として、増税か国債依存かで議論は二分されている。しかし極論すれば、これはファイナンスに関る技術論でしかない。肝心なのは、どうやってこの国が復興資金を稼ぎ出すかという点だ。その担い手は、現実的には民間セクターと大都市である東京でしかありえない。

第6回
G8は絶好のチャンス!三顧の礼を尽くして、世界に専門家の派遣を依頼せよ
もはや福島第一原発事故は、日本国内の問題でなく、グローバルな問題となっている。ならば日本は国内の力のみで解決しようするより、世界中の英知の結集を図るべきだ。今月末のG8は、世界中に協力を仰ぐ絶好のチャンスである。

第5回
震災前と震災後で、日本が直面している構造的課題は何一つ変わっていない
震災からの復興は、ゼロベースでは考えられない。日本が直面している構造的課題は何一つ変わっていないのだ。それは、少子高齢化、財政悪化、競争力低下である。復興もこれらの改革と同じベクトルが必要である。

第4回
「自動販売機は不要だ」という価値観の押し付けは、「贅沢は敵」と紙一重である。
夏の首都圏の電力不足の解消に向けて、いま市場経済的方法か、統制経済的方法かの2つが議論されている。しかし、統制経済的手法には問題が多い。1940年体制への逆戻りになる恐れがある。

第3回
政府は一刻も早く、「東電を民間企業として存続させる」という決断を下すべきだ
福島第一原発の暫定評価はレベル7に引き上げられた。このような事態に一部のメディアは、政府・東電は情報を隠蔽していると書いているが、その可能性は低い。彼らが情報を隠蔽するインセンティブは見当たらない。

第2回
最優先の課題は福島第一原発事故の沈静化である
東日本大震災から1ヵ月を経過した現在、まだ多くの問題が未解決である。その中でもっとも喫緊の課題は、福島第一原発の沈静化である。政府も東電も多くの問題を抱えるなか、まずはこの問題に全力投球すべきであり、市民もそれを妨げてはならない。

第1回
東日本大地震による被害は未曾有のものであり、日本はいま戦後最大の試練を迎えている。被災した人の生活、原発事故への対応、電力不足への対応……。これら社会全体としてやるべき課題は山積だ。この状況下で、いま何を優先すべきか。ライフネット生命の社長であり、卓越した国際的視野と歴史観をもつ出口治明氏が、いま日本が抱える問題の本質とその解決策を語る。
