
秋山進
日本経済の停滞ぶりが「失われた○○年」と形容され、「日本は変わらなければならない」と言われ続けて久しい。米国や中国と比較して異なる点を見つけては、日本は遅れていると自虐的に指弾する。しかし、日本経済が遅れていてガラパゴスだという論は、果たして100%正しいのか。ノーベル経済学賞候補に名を連ねたこともある経済学者の著書から読み解こう。

カーリング日本代表の選抜方法を変えるべきではないか
組織において変革を実行するのがいかに難しいか。変革実行には何が必要か。今回は北京五輪でも注目されたカーリング日本代表チームの選抜方法を基に(1)最強チームを作るにはどうすれば良いか、(2)ビジネス的視点では何が最適か、(3)実際に運営可能か、の3つの観点から考えてみる。

最先端の機械翻訳は、松尾芭蕉を訳せるか
Google翻訳やDeepLなど、機械翻訳の進歩がすさまじい。どのような技術革新があったのか。さらに精度が上がるとコミュニケーションはどう変わるのか。また日本人が英語を勉強する必要がなくなる日が来るのか。長らく機械翻訳に携わる第一人者のNTTコミュニケーション科学基礎研究所 協創情報研究部 言語知能研究グループ上席特別研究員・永田昌明氏と本連載『組織の病気』著者である秋山進氏が2回に分けて「進歩がすさまじい機械翻訳の現在と未来」について語り合う。後編では、機械翻訳が今後どのように発展し、人の言語運用はどう変わるのか、英語学習はどうなるのか、社会へのインパクトについて話題が広がった。

「暗黙知」という言葉は日本語として普通に使われている。現場の人が日々の仕事の中で蓄積してきた熟練の技やノウハウなどの「暗黙知」を「形式知化」するなどという使い方が、ビジネスでは一般的だろう。しかし名著『暗黙知の次元』では、暗黙知はもっと広い意味で定義され、生物の知の運動そのものを指す。人間社会がその暗黙知によって激変するかもしれない未来を、読み解いていこう。

進歩がすさまじい「機械翻訳」、その理由をトップ技術者に聞く
Google翻訳やDeepLなど機械翻訳の進歩がすさまじい。どのような技術革新があったのか。さらに精度が上がるとコミュニケーションはどう変わるのか。また日本人が英語を勉強する必要がなくなる日が来るのか。長らく機械翻訳に携わる第一人者のNTTコミュニケーション科学基礎研究所 協創情報研究部 言語知能研究グループ上席特別研究員永田昌明氏と本連載『組織の病気』著者である秋山進氏が2回に分けて「進歩がすさまじい機械翻訳の現在と未来」について語り合う。前編では、機械翻訳の発展、ニューラルネットワークの画期的な技術革新について、詳しく、わかりやすく解説してもらった。

何でも「ダメ出し」「否定」する上司の問題点
何かを提案した際に、「“それ”、以前失敗したんだよね。うちでは無理だよ」とか、「“それ”、ちょっと前に検討したんだよね。で、やらないことになった」などと、ろくに話を聞かないで否定する上司がいる。実はこのような言い方をする上司は、わずかな例外を除いて、驚くほどNGの判断基準が適当である場合が多いのだ。

「言うべきことを言わない」と金融庁が糾弾したみずほ銀行から学べる本当の教訓
「みずほ銀行のシステムトラブル」は大きな社会問題になった。事件の印象をさらに強くしたのが、金融庁による業務改善命令の文書だ。文書によると、社員の「言うべきことを言わない、言われたことしかしない姿勢」がシステム上、ガバナンス上のトラブルを起こした真因だという。では、この「言うべきことを言わない」「言われたことしかしない」というのはいったい何のことを指すのか。考えてみると意外に難しい。

日本人は権利意識が薄く、事を荒立てずに話し合いで相手との合意点を探るというイメージがある。しかし、昨今のSDGsやカーボンニュートラル推進の急展開において、欧米が自分たちの有利なようにルールを決めていることに、不公平感や釈然としない思いを抱く人も増えてきている。日本人の法に対する意識は変わったのか。それとも、表面的に変わったように見えても、中身はもとのままなのだろうか。名著『日本人の法意識』を基に読み解く。

優秀な若手を辞めさせないためには何をすべきか
最近、有名企業の管理職ポストにある人から「優秀な若手から辞めて困る」という言葉を聞くことが増えた。本当に“優秀な若手”たちから有名企業を辞めるのであろうか?個社の事情をいろいろ聞く限り、どうもそれは事実のように思われる。今回はその理由を考えたい。

好かれる新庄監督、嫌われた落合監督
新庄 ”BIG BOSS”に社会が熱狂している。コロナで疲れた私たちの心をパッっと明るくしてくれる。ポジティブ、かっこいい。人の悪口を言わない。幸せな未来をファイターズだけでなく、われわれにもたらしてくれそうである。一方で、冷徹な勝利至上主義の監督と言われた落合の中日は人気がなかったが強かった。この二人を通して令和のリーダー論を考える。

哲学者・和辻哲郎の『古寺巡礼』は、印象は信仰の本のようだが、実際は仏教美術の鑑賞のエッセイとでも言うべきものだ。戦前の発刊ながら、今でも版を重ね続ける大ベスセラーである。和辻の鋭い感性と滑らかで美しい日本語の描写が、読む人を感化する。なぜ日本人は仏像を見ると心を奪われるのか?その本質を、この本から読み解こう。

上司に気に入られ、部下に慕われる「褒め方」の極意
よく「褒めて育てよ」などと言うが、そのつもりで必死で褒めているのに、いまひとつ相手はうれしがっている様子がなかったり、上司をヨイショしてありたけの賛辞を並べ立てても、まったくいい顔をされなかったという経験がないだろうか。また、誰もが褒められたけれど、実際にはちっともうれしくなかった経験があるのではないか。褒められている相手はむしろ当を得ない称賛に苦笑いし、周囲は「わかってないな」と哀れんでいたりする。

企業における「学歴主義」が時代遅れと言われる理由
ビジネスにおいて、「出身大学という“学歴”で人を評価するのはいまやナンセンス」と言われながらも、まだまだそれで人材を判断する企業が多いのも事実だろう。では、なぜ企業でそれほど「学歴」が重視されてしまうのか。なぜ「良い大学」に入ることが重要視されたのか?今回は、どうしても学歴が重視されてしまう理由と、本来、学歴が持つ意味を考えてみたい。

先般も衆議院選挙があった。「日本の政治はなぜダメなのか」と悲憤梗概する人も多い。ふと疑問に思ったことがある。選挙に出る人たちの動機は何か。一体何がしたいのか。政治家とは何かという本質論を、マックス・ヴェーバーとリチャード・ニクソンの有名な書物を基に考えてみたい。

抜擢人事の「年下上司」がつらくなる理由
年次逆転の部署がすでに普通になってきている。公然と年下上司に反旗を翻す職場もある。やりにくそうにしながらも気を使い合っている職場もある。あまり気にせず普通にやれている職場もある。

モチベーションアップは錯覚!?仕事で感じる「働きがい」の実態
仕事はそう簡単にうまくいくものではない。経験の浅いうちは失敗ばかりだ。特に難しいのは、仕事を進めていくうえでの人間関係の構築と運用である。そもそものアイデアが良くても、人間関係がうまくいかないと実際の仕事は前に進まず、成果も得られず、他者からも受け入れられず、居場所がなくなってしまう。では、人間関係の構築と運用の難しさとはどこにあるだろうか。

未来の予測がつかない時代である。テクノロジーの高度化で個人が自由に経済活動を行った結果、格差問題や分断が生まれる資本主義の行き詰まりは目に見えている。かといって、国家が個の自由を制限し、統制を強めることが好ましいというわけでもない。今後人類はどのように生きるべきなのか。それを考えるよすがになるのが、SF小説『幼年期の終わり』だ。

上司が部下に「提案」を求める本当のワケ、手柄を横取りされてない?
上司が「会社や職場を良くしたいから何でも提案してほしい」と言ってくることは多い。しかし、それを真に受けて提案を考えても実際に実現しないことがほとんどだったりする。一体なぜか。上司が部下に提案をしてほしいというときの4パターンをさらい、上司の状況をよく見て、それに合わせた対応をすることが肝要である。

発注先選びで絶対に失敗しない「3つのパラメーター」とは?
どんな会社でも、発注先を決めるのは難しい。金額と効果の妥当性を考え、社内での稟議(りんぎ)も通しながら進めなければならないからだ。そこで、発注先を決める手順や、発注先が決まる際のパラメーターについて、徹底的に考えてみることにしよう。大きく分けると、「期待値」「価格」そして「会社的忖度(そんたく)」の三つの軸が存在する。

精緻で実際的な理論の積み重ねと、経済学の正統的な研究を背景に、今日重要性を増すSDGsのような考え方を早くから提唱していた経済学者が日本にいた。流行をなぞるだけの表面的な「サステナビリティ」や「脱成長」を説く言説と、どう出自が違うのか。「ノーベル賞確実」と言われた宇沢弘文の思考を紐解く。
