カーゴニュース
SGホールディングスグループの佐川急便(本社・京都市南区、本村正秀社長)は10月27日、「飛脚宅配便」の届出運賃を2024年4月1日から値上げすると発表した。平均運賃改定率は7%。同社は今年4月1日にも平均8%の値上げを実施しており、2年連続での値上げとなる。

納豆の輸出が年々増加しており、このペースで輸出が続けば23年は輸出数量・輸出金額ともに過去最大となりそうな勢いとなっている。仕向け国別に見ると、意外な事実が判明した。人気の理由に迫る。

宅配便の取扱個数が前年割れで推移している。宅配大手3社のうち、ヤマト運輸と佐川急便の2023年度上期(4~9月)の実績は前年同期を下回った。日本郵便は8月までの実績で前年をわずかに上回っているものの、3社合計の上期実績では前年割れがほぼ確実。昨年後半からの物価上昇に伴う消費活動の低迷が大きく影響しており、いまだ好転の兆しは乏しい。このままの状況が続けば、23年度通期でも前年割れは避けられない情勢だ。

政府は10月6日、物流の「2024年問題」対策を協議する関係閣僚会議を開き「物流革新緊急パッケージ」を取りまとめた。6月に公表した「物流革新に向けた政策パッケージ」の中で、特に緊急性の高い施策を実行する。再配達率の半減に向け、「置き配」などを選んだ利用者にポイントを付与する実証事業を行うほか、鉄道・船舶へのモーダルシフトを推進し、貨物輸送量を今後10年程度で2倍に拡大する。また、年内にもトラックの「標準的な運賃」の引き上げを行う。

カーゴニュース調査によると、2022年度の物流コストの絶対額が増加した大手荷主企業は、調査対象60社のうち48社と全体の8割に及んだことが明らかになった。21年度の増加企業数も20年度比で23社増と伸長したが、22年度も引き続き多くの荷主が物流コストを増やし、全体総額も3兆円台に近づく結果となった。コロナ影響からの回復に加えて、運送事業者からの運賃値上げ要請や原料価格高騰などが物流コストを引き上げる形となり、「2024年問題」を間近に控え、今後も物流コストは増加基調が継続することが見込まれる。

国土交通省が9月19日に発表した2023年の都道府県地価調査(7月1日時点)によると、全国の全用途(住宅地、商業地、工業地)平均は前年から1.0%上昇し、22年から2年連続での上昇となった。上昇率の高い地点を見ると、東京圏では千葉県船橋市、市川市、神奈川県厚木市、大阪圏では兵庫県尼崎市、京都府久御山町、名古屋圏では愛知県小牧市など、物流拠点の集積エリアが目立っており、依然として物流施設の建設需要が地価上昇の要因のひとつになっていることが伺える。

物流大手が危険物倉庫への投資を加速させている。電気自動車シフトに伴うリチウムイオン電池の保管需要が増加したこと、半導体製造工程に必要な化学品や高圧ガスなどの保管需要も喚起されていることが背景にあり、今後の倉庫需要をけん引する成長分野となりそうだ。

日本の製造業の拠点戦略が転換期を迎えつつある。新型コロナウイルス感染症やウクライナ情勢をはじめとする地政学リスクの高まりに加え、国内では来年4月に、トラックドライバーの労働時間規制が厳格化される「2024年問題」も控えている。「運べないリスク」の回避も見据え、生産拠点や物流拠点の分散化など製造業のサプライチェーン再構築の動きが加速してきた。

今年6月、政府がまとめた「物流革新に向けた政策パッケージ」において、見直しに向けた取り組みの必要性が明示されたことでにわかに注目を集める「送料無料」表示。政策パッケージでの言及を受け、消費者庁は同月23日に「『送料無料』表示の見直しに関する意見交換会」の第1回会合を開き、運輸業界側からのヒアリングを実施した。8月に入ると、第2~4回の意見交換会が相次いで実施され、今度はアマゾンや楽天、ヤフーなど大手ECが所属する3団体から聴取。ここでは運輸業界が求める「送料無料」表示の見直しに、真っ向から反対する主張も散見された。その後、日本郵便を招聘した第5回を挟み、同月23日の第6回会合には業界最大手団体の日本通信販売協会(JADMA)が呼ばれ、通販事業者らの意見を代表して発表した。

日本通運(本社・東京都千代田区、堀切智社長)は8月23日、オンライン会見を開き、2023年12月期第2四半期(4~6月)の航空事業と海運事業の業績を発表した。航空事業は日本発の輸出取扱重量が前年同期比で2割減、輸入件数も1割減となるなど引き続き低調な荷動きとなり、売上高は4割減となった。海運事業はNVOCC(非船舶運航業者)の輸出入とも取扱量が前年を下回り、売上高は前年同期比約3割減となった。

2030年度末予定の北海道新幹線・札幌延伸に伴って生じる「鉄道貨物輸送」に関する課題について関係者間の議論が進んでいる。これまでは経済合理性を巡ったものが中心だったが、7月の会合で新たに「国防」観点での言及があったことは注目に値する。ロシアリスクの顕在化など不安定な国際情勢が続く中で、国防や防災面からみた貨物鉄道機能の必要性という視点は、一定の重みを持ちそうだ。

日本企業の「ロシア貿易」状況調査(帝国データバンク、2023年)によると、「輸出」関連取引は大幅に減少した一方、「輸入」関連取引では3.2%増加。対ロ禁輸制裁の対象外となるある品目では、対ロ輸入金額としては旧ソ連からロシアに移行して以後、過去最高を記録したという。なぜだろうか?

ヤマトホールディングスの2024年3月期第1四半期の決算は減収減益となり、最終赤字に転じた。宅配便単価は値上げで上昇したものの、宅配便取扱数量は消費のリアル回帰によるEC需要の伸び悩みを背景に、当初想定を下回った。目下、構造改革を進行中で、営業所数は3219拠点から2800拠点まで削減する計画。ドライバーの働き方・体制刷新を行い、集約効果の最大化を図る。

ロッテ(本社・東京都新宿区、牛膓栄一社長)とカバヤ食品(本社・岡山市北区、野津基弘社長)は7月25日から、日本石油輸送が所有する31ftスーパーURコンテナを活用した鉄道のラウンドマッチング輸送を開始した。ロッテの狭山工場(埼玉県狭山市)から岡山県内にある倉庫まで製品を鉄道輸送した復路で、カバヤ食品の製品を岡山工場(岡山市北区)から埼玉県内の倉庫まで輸送するスキーム。輸送するロッテ製品は「コアラのマーチ」で、カバヤ食品の製品は「タフグミ」。断熱性能に優れたスーパーURコンテナを使うことで、温度管理が求められる菓子類の鉄道輸送を実現しており、「2024年問題」の対応策としても注目されそうだ。

国土交通省は7月21日、トラック運送事業者が荷主や元請事業者から不当な取引を強いられていないかなどを調べる「トラックGメン」を創設し、本省などで辞令交付式を行った。全国の地方運輸局・運輸支局などに計162人を配置し、荷主や元請事業者への監視体制を強化。トラック事業者に対して不適切な取引を強いる荷主・元請の情報を収集していく。悪質な荷主・元請には改善を図るよう働きかけ、改善が見られない場合は是正措置を要請する。さらに改善がみられない場合、勧告を出して社名を公表する。

倉庫シェアリングサービスを展開する企業が提供する「自家倉庫シェアリングスキーム」に、営業倉庫業界から「待った」がかかった。自家倉庫のスペースを賃貸借し、入出庫などの庫内作業についても業務委託契約を結んで自家倉庫が請け負う――という「不動産賃貸」と「業務委託」を組み合わせた新たなサービススキームについて、日本倉庫協会(久保高伸会長)は、外形上、営業倉庫が行う貨物の「保管」と取られかねないとの意見を表明。国土交通省に対し、必要な場合には適切な対処を求める要望書を提出した。

物流不動産の異業種協業先が多様化してきている。その背景にあるのが、物流不動産の大量供給によるテナント誘致競争の激化だ。CBREの調査によると、首都圏の大型マルチテナント型物流施設の空室率は1~3月に8%台に達し、竣工時の稼働率は3割にとどまる。建設コストが上昇している中で、賃料の引き下げには限界があり、各種協業を通じて物件の付加価値を高め、差別化を図ろうとする思惑がうかがえる。五つの事例を紹介する。

消費者庁は6月23日、「送料無料」表示の見直しに関する意見交換会の第1会合を開催した。第1回会合では、全日本トラック協会の馬渡雅敏副会長が、「送料無料」表示が「輸送はコストがかからない」という誤解を生じさせるとし、表示の見直しと消費者の理解の必要性を訴えた。

「2024年問題」まで1年を切る中、“運べなくなる危機”を回避するため、トラックドライバーなどの物流資源の有効活用につながる「共同物流」への関心が一段と強まっている。一方で、共同物流に参画する荷主の一部からは、業界でのシェアが相当程度高くなるため、独占禁止法への抵触を懸念する声も挙がっていた。公正取引委員会は6月16日に開催された、国土交通省、経済産業省などが主催する「持続可能な物流検討会」の第11回会合で、共同物流に関しては多くの事例が「独禁法上問題となるものではない」と報告。公取委から“お墨付き”が与えられたことで、大手荷主を中心に共同物流の検討がさらに加速する可能性が出てきた。

ヤマトグループと日本郵政グループが一部事業での協業に基本合意した。長年のライバル2社の“電撃”提携は、物流業界にとって時代の変化を感じさせる一大ニュース。背景には何があったのか。2社の思惑とは?
