カーゴニュース
カーゴニュース調査によると、2022年度の物流コストの絶対額が増加した大手荷主企業は、調査対象60社のうち48社と全体の8割に及んだことが明らかになった。21年度の増加企業数も20年度比で23社増と伸長したが、22年度も引き続き多くの荷主が物流コストを増やし、全体総額も3兆円台に近づく結果となった。コロナ影響からの回復に加えて、運送事業者からの運賃値上げ要請や原料価格高騰などが物流コストを引き上げる形となり、「2024年問題」を間近に控え、今後も物流コストは増加基調が継続することが見込まれる。

国土交通省が9月19日に発表した2023年の都道府県地価調査(7月1日時点)によると、全国の全用途(住宅地、商業地、工業地)平均は前年から1.0%上昇し、22年から2年連続での上昇となった。上昇率の高い地点を見ると、東京圏では千葉県船橋市、市川市、神奈川県厚木市、大阪圏では兵庫県尼崎市、京都府久御山町、名古屋圏では愛知県小牧市など、物流拠点の集積エリアが目立っており、依然として物流施設の建設需要が地価上昇の要因のひとつになっていることが伺える。

物流大手が危険物倉庫への投資を加速させている。電気自動車シフトに伴うリチウムイオン電池の保管需要が増加したこと、半導体製造工程に必要な化学品や高圧ガスなどの保管需要も喚起されていることが背景にあり、今後の倉庫需要をけん引する成長分野となりそうだ。

日本の製造業の拠点戦略が転換期を迎えつつある。新型コロナウイルス感染症やウクライナ情勢をはじめとする地政学リスクの高まりに加え、国内では来年4月に、トラックドライバーの労働時間規制が厳格化される「2024年問題」も控えている。「運べないリスク」の回避も見据え、生産拠点や物流拠点の分散化など製造業のサプライチェーン再構築の動きが加速してきた。

今年6月、政府がまとめた「物流革新に向けた政策パッケージ」において、見直しに向けた取り組みの必要性が明示されたことでにわかに注目を集める「送料無料」表示。政策パッケージでの言及を受け、消費者庁は同月23日に「『送料無料』表示の見直しに関する意見交換会」の第1回会合を開き、運輸業界側からのヒアリングを実施した。8月に入ると、第2~4回の意見交換会が相次いで実施され、今度はアマゾンや楽天、ヤフーなど大手ECが所属する3団体から聴取。ここでは運輸業界が求める「送料無料」表示の見直しに、真っ向から反対する主張も散見された。その後、日本郵便を招聘した第5回を挟み、同月23日の第6回会合には業界最大手団体の日本通信販売協会(JADMA)が呼ばれ、通販事業者らの意見を代表して発表した。

日本通運(本社・東京都千代田区、堀切智社長)は8月23日、オンライン会見を開き、2023年12月期第2四半期(4~6月)の航空事業と海運事業の業績を発表した。航空事業は日本発の輸出取扱重量が前年同期比で2割減、輸入件数も1割減となるなど引き続き低調な荷動きとなり、売上高は4割減となった。海運事業はNVOCC(非船舶運航業者)の輸出入とも取扱量が前年を下回り、売上高は前年同期比約3割減となった。

2030年度末予定の北海道新幹線・札幌延伸に伴って生じる「鉄道貨物輸送」に関する課題について関係者間の議論が進んでいる。これまでは経済合理性を巡ったものが中心だったが、7月の会合で新たに「国防」観点での言及があったことは注目に値する。ロシアリスクの顕在化など不安定な国際情勢が続く中で、国防や防災面からみた貨物鉄道機能の必要性という視点は、一定の重みを持ちそうだ。

日本企業の「ロシア貿易」状況調査(帝国データバンク、2023年)によると、「輸出」関連取引は大幅に減少した一方、「輸入」関連取引では3.2%増加。対ロ禁輸制裁の対象外となるある品目では、対ロ輸入金額としては旧ソ連からロシアに移行して以後、過去最高を記録したという。なぜだろうか?

ヤマトホールディングスの2024年3月期第1四半期の決算は減収減益となり、最終赤字に転じた。宅配便単価は値上げで上昇したものの、宅配便取扱数量は消費のリアル回帰によるEC需要の伸び悩みを背景に、当初想定を下回った。目下、構造改革を進行中で、営業所数は3219拠点から2800拠点まで削減する計画。ドライバーの働き方・体制刷新を行い、集約効果の最大化を図る。

ロッテ(本社・東京都新宿区、牛膓栄一社長)とカバヤ食品(本社・岡山市北区、野津基弘社長)は7月25日から、日本石油輸送が所有する31ftスーパーURコンテナを活用した鉄道のラウンドマッチング輸送を開始した。ロッテの狭山工場(埼玉県狭山市)から岡山県内にある倉庫まで製品を鉄道輸送した復路で、カバヤ食品の製品を岡山工場(岡山市北区)から埼玉県内の倉庫まで輸送するスキーム。輸送するロッテ製品は「コアラのマーチ」で、カバヤ食品の製品は「タフグミ」。断熱性能に優れたスーパーURコンテナを使うことで、温度管理が求められる菓子類の鉄道輸送を実現しており、「2024年問題」の対応策としても注目されそうだ。

国土交通省は7月21日、トラック運送事業者が荷主や元請事業者から不当な取引を強いられていないかなどを調べる「トラックGメン」を創設し、本省などで辞令交付式を行った。全国の地方運輸局・運輸支局などに計162人を配置し、荷主や元請事業者への監視体制を強化。トラック事業者に対して不適切な取引を強いる荷主・元請の情報を収集していく。悪質な荷主・元請には改善を図るよう働きかけ、改善が見られない場合は是正措置を要請する。さらに改善がみられない場合、勧告を出して社名を公表する。

倉庫シェアリングサービスを展開する企業が提供する「自家倉庫シェアリングスキーム」に、営業倉庫業界から「待った」がかかった。自家倉庫のスペースを賃貸借し、入出庫などの庫内作業についても業務委託契約を結んで自家倉庫が請け負う――という「不動産賃貸」と「業務委託」を組み合わせた新たなサービススキームについて、日本倉庫協会(久保高伸会長)は、外形上、営業倉庫が行う貨物の「保管」と取られかねないとの意見を表明。国土交通省に対し、必要な場合には適切な対処を求める要望書を提出した。

物流不動産の異業種協業先が多様化してきている。その背景にあるのが、物流不動産の大量供給によるテナント誘致競争の激化だ。CBREの調査によると、首都圏の大型マルチテナント型物流施設の空室率は1~3月に8%台に達し、竣工時の稼働率は3割にとどまる。建設コストが上昇している中で、賃料の引き下げには限界があり、各種協業を通じて物件の付加価値を高め、差別化を図ろうとする思惑がうかがえる。五つの事例を紹介する。

消費者庁は6月23日、「送料無料」表示の見直しに関する意見交換会の第1会合を開催した。第1回会合では、全日本トラック協会の馬渡雅敏副会長が、「送料無料」表示が「輸送はコストがかからない」という誤解を生じさせるとし、表示の見直しと消費者の理解の必要性を訴えた。

「2024年問題」まで1年を切る中、“運べなくなる危機”を回避するため、トラックドライバーなどの物流資源の有効活用につながる「共同物流」への関心が一段と強まっている。一方で、共同物流に参画する荷主の一部からは、業界でのシェアが相当程度高くなるため、独占禁止法への抵触を懸念する声も挙がっていた。公正取引委員会は6月16日に開催された、国土交通省、経済産業省などが主催する「持続可能な物流検討会」の第11回会合で、共同物流に関しては多くの事例が「独禁法上問題となるものではない」と報告。公取委から“お墨付き”が与えられたことで、大手荷主を中心に共同物流の検討がさらに加速する可能性が出てきた。

ヤマトグループと日本郵政グループが一部事業での協業に基本合意した。長年のライバル2社の“電撃”提携は、物流業界にとって時代の変化を感じさせる一大ニュース。背景には何があったのか。2社の思惑とは?

インターワイヤード(本社・東京都品川区、斉藤義弘代表取締役)が運営するネットリサーチのDIMSDRIVEは、流通問題研究協会と共同で「物流の2024年問題」に関するアンケートを行った。5月15~16日にかけて全国の20歳以上の男女を対象に、合計1318人から回答を得た。一般の消費者の8割が身近な物流である宅配便の再配達削減など労働環境改善に肯定的である一方、料金の値上げについては意見が分かれた。

M&Aキャピタルパートナーズが物流・運送業の経営者100人を対象に行った意識調査(2023年版)の結果を公表した。荷主と運賃交渉の結果、5割が値上げを実現した一方、交渉が決裂した場合に「撤退する」を選択するという回答も4割にのぼるなど、荷主とのコミュニケーションにも変化が見られる。

港湾、空港でも「2024年問題」への対応が加速してきた。トラックドライバーの労働時間規制が厳格化されることで、国内物流を維持していくには、他の輸送モードとの連携や複線化はますます重要になってくる。トラック輸送への依存度を下げるとともに、港湾、空港といった物流インフラにおいて、トラック輸送と連携することでの生産性向上を図る取り組みも欠かせない。

上場企業を中心とした物流大手の2023年3月期決算が出そろった。全24社中21社が増収となったほか、営業利益で24社中17社が増益になるなど、おおむね増収増益基調を維持した。前期は、海上・航空運賃の高騰が下期以降に正常化に向かったものの、円安による為替効果の寄与もあり、多くの企業が増収を維持した。利益面では燃油費や電気代の上場が利益を圧迫する面も見られた。一方、今期(24年3月期)の業績予想は、23社(ロジスティードが非公表)のうち7社が減収を、営業利益では23社のうち半数近い11社が減益を見込むなど、業績悪化を想定する企業が増えている。
