カーゴニュース
ヤマトホールディングスの2024年3月期第1四半期の決算は減収減益となり、最終赤字に転じた。宅配便単価は値上げで上昇したものの、宅配便取扱数量は消費のリアル回帰によるEC需要の伸び悩みを背景に、当初想定を下回った。目下、構造改革を進行中で、営業所数は3219拠点から2800拠点まで削減する計画。ドライバーの働き方・体制刷新を行い、集約効果の最大化を図る。

ロッテ(本社・東京都新宿区、牛膓栄一社長)とカバヤ食品(本社・岡山市北区、野津基弘社長)は7月25日から、日本石油輸送が所有する31ftスーパーURコンテナを活用した鉄道のラウンドマッチング輸送を開始した。ロッテの狭山工場(埼玉県狭山市)から岡山県内にある倉庫まで製品を鉄道輸送した復路で、カバヤ食品の製品を岡山工場(岡山市北区)から埼玉県内の倉庫まで輸送するスキーム。輸送するロッテ製品は「コアラのマーチ」で、カバヤ食品の製品は「タフグミ」。断熱性能に優れたスーパーURコンテナを使うことで、温度管理が求められる菓子類の鉄道輸送を実現しており、「2024年問題」の対応策としても注目されそうだ。

国土交通省は7月21日、トラック運送事業者が荷主や元請事業者から不当な取引を強いられていないかなどを調べる「トラックGメン」を創設し、本省などで辞令交付式を行った。全国の地方運輸局・運輸支局などに計162人を配置し、荷主や元請事業者への監視体制を強化。トラック事業者に対して不適切な取引を強いる荷主・元請の情報を収集していく。悪質な荷主・元請には改善を図るよう働きかけ、改善が見られない場合は是正措置を要請する。さらに改善がみられない場合、勧告を出して社名を公表する。

倉庫シェアリングサービスを展開する企業が提供する「自家倉庫シェアリングスキーム」に、営業倉庫業界から「待った」がかかった。自家倉庫のスペースを賃貸借し、入出庫などの庫内作業についても業務委託契約を結んで自家倉庫が請け負う――という「不動産賃貸」と「業務委託」を組み合わせた新たなサービススキームについて、日本倉庫協会(久保高伸会長)は、外形上、営業倉庫が行う貨物の「保管」と取られかねないとの意見を表明。国土交通省に対し、必要な場合には適切な対処を求める要望書を提出した。

物流不動産の異業種協業先が多様化してきている。その背景にあるのが、物流不動産の大量供給によるテナント誘致競争の激化だ。CBREの調査によると、首都圏の大型マルチテナント型物流施設の空室率は1~3月に8%台に達し、竣工時の稼働率は3割にとどまる。建設コストが上昇している中で、賃料の引き下げには限界があり、各種協業を通じて物件の付加価値を高め、差別化を図ろうとする思惑がうかがえる。五つの事例を紹介する。

消費者庁は6月23日、「送料無料」表示の見直しに関する意見交換会の第1会合を開催した。第1回会合では、全日本トラック協会の馬渡雅敏副会長が、「送料無料」表示が「輸送はコストがかからない」という誤解を生じさせるとし、表示の見直しと消費者の理解の必要性を訴えた。

「2024年問題」まで1年を切る中、“運べなくなる危機”を回避するため、トラックドライバーなどの物流資源の有効活用につながる「共同物流」への関心が一段と強まっている。一方で、共同物流に参画する荷主の一部からは、業界でのシェアが相当程度高くなるため、独占禁止法への抵触を懸念する声も挙がっていた。公正取引委員会は6月16日に開催された、国土交通省、経済産業省などが主催する「持続可能な物流検討会」の第11回会合で、共同物流に関しては多くの事例が「独禁法上問題となるものではない」と報告。公取委から“お墨付き”が与えられたことで、大手荷主を中心に共同物流の検討がさらに加速する可能性が出てきた。

ヤマトグループと日本郵政グループが一部事業での協業に基本合意した。長年のライバル2社の“電撃”提携は、物流業界にとって時代の変化を感じさせる一大ニュース。背景には何があったのか。2社の思惑とは?

インターワイヤード(本社・東京都品川区、斉藤義弘代表取締役)が運営するネットリサーチのDIMSDRIVEは、流通問題研究協会と共同で「物流の2024年問題」に関するアンケートを行った。5月15~16日にかけて全国の20歳以上の男女を対象に、合計1318人から回答を得た。一般の消費者の8割が身近な物流である宅配便の再配達削減など労働環境改善に肯定的である一方、料金の値上げについては意見が分かれた。

M&Aキャピタルパートナーズが物流・運送業の経営者100人を対象に行った意識調査(2023年版)の結果を公表した。荷主と運賃交渉の結果、5割が値上げを実現した一方、交渉が決裂した場合に「撤退する」を選択するという回答も4割にのぼるなど、荷主とのコミュニケーションにも変化が見られる。

港湾、空港でも「2024年問題」への対応が加速してきた。トラックドライバーの労働時間規制が厳格化されることで、国内物流を維持していくには、他の輸送モードとの連携や複線化はますます重要になってくる。トラック輸送への依存度を下げるとともに、港湾、空港といった物流インフラにおいて、トラック輸送と連携することでの生産性向上を図る取り組みも欠かせない。

上場企業を中心とした物流大手の2023年3月期決算が出そろった。全24社中21社が増収となったほか、営業利益で24社中17社が増益になるなど、おおむね増収増益基調を維持した。前期は、海上・航空運賃の高騰が下期以降に正常化に向かったものの、円安による為替効果の寄与もあり、多くの企業が増収を維持した。利益面では燃油費や電気代の上場が利益を圧迫する面も見られた。一方、今期(24年3月期)の業績予想は、23社(ロジスティードが非公表)のうち7社が減収を、営業利益では23社のうち半数近い11社が減益を見込むなど、業績悪化を想定する企業が増えている。

住友倉庫の2023年3月期の連結決算は、海運事業を売却した影響で減収だったものの純利益は過去最高だった。間嶋弘代表取締役専務執行役員は「今年度からスタートした第五次中期経営計画では構造改革をさらに推進する」と発言。各種コストの上昇の価格転嫁の進捗について「倉庫の保管料の単価をみると、コロナ禍前と比べると4%上昇しており、一定程度の転嫁ができている」と報告した。

2022年度の宅配便大手3社の取扱個数の合計が前年度比1.0%増の46億7800万個となった。3社のうちヤマト運輸を除く2社は前年割れ。ヤマト運輸も取扱個数こそ前年を上回ったものの、伸び率は鈍化した。宅配便の取扱個数の伸びが低調な背景には、とくに昨秋以降、消費財を中心に商品価格の値上げが続き、通販需要が低調に推移していることが挙げられる。また、EC大手が自社配送に力を入れる中で、統計上には表れない“隠れ宅配”にシフトしていることも考えられそうだ。

働き方改革法に基づきトラックドライバーの労働時間のルールが厳しくなる「2024年問題」。実施を1年後に控え、サプライチェーンの結節点となる「倉庫」への影響も注目される。行政は倉庫での長時間の荷待ち時間に対する監視を強めており、改善できなければ企業名が公表される恐れもある。労働環境を改善するため、ドライバーを「運転」業務に特化させる動きが、倉庫側での作業の負荷増大を招く懸念もある。2024年問題が倉庫にもたらす影響を、マイナスとプラスの両面から探る。

ヤマト運輸と、コロワイドグループのマーチャンダイジングを統括するコロワイド MDは3月28日、リードロジスティクスパートナー(LLP)協定を締結した。コロワイドグループは「牛角」や「かっぱ寿司」、「大戸屋ごはん処」など複数の外食チェーンブランドを展開し、こうした外食事業を中心にサプライチェーンを構築してきた。一方で、今後の事業成長を図る給食事業などは多頻度小口配送など多様な輸配送ニーズへの対応が重要となることから、小口配送に強みを持つヤマト運輸とのLLP協定締結に至った。

トラック運送業界で外国人労働者導入向けた検討が本格的に始まる。全日本トラック協会(坂本克己会長)は2023年度の事業計画で、人材確保にかかわる施策のうち、「外国人労働者の導入に向けた検討策の推進」について優先度を高めて取り組むこととした。トラック運送業について、人手不足業種の労働力確保を目的とした在留資格である「特定技能」への追加指定を目指し、関係機関との調整を進めていく。

不動産サービスのCBREが、「製造業の集積と物流施設需要」と題するレポートを公表した。台湾半導体大手のTSMC(台湾積体電路製造)の熊本進出の事例から、工場新設で期待される経済波及効果と物流施設の需要について考察。「製造業がEC化の進展と並んで日本の先進的物流施設需要を牽引するもう一つの潮流となると考えられる」と分析している。

2022年9月、わが国と国交正常化50周年を迎えた中国。重要な貿易相手国として強い経済的結びつきを保持してきたが、コロナ禍を経て同国を取り巻くグローバルサプライチェーンには大きな変化が訪れている。日系物流会社として最も早く中国へ進出し、日本通運、山九とともに“中国物流御三家”と称されてきた日新の章征栄・執行役員中国統轄に、中国物流の最新事情と今後の市場展望を聞いた。

越境ECの拡大により、輸入小口急送貨物への対応が急務になっている。航空貨物などによる不正薬物や知的財産侵害物品等が摘発される事案が増加し、ECプラットフォーム事業者のフルフィルメントサービスを利用した貨物について不適切な課税価格で輸入申告が行われるケースもみられる。財務省関税局・税関では、EC関連の新たなビジネスモデルの台頭に適切な対応を図るため、通関業者、ECプラットフォーム事業者との連携・協力を強化。令和5年度関税改正において制度の見直しを実施し、NACCS(輸出入・港湾関連情報システム)の更改時期も踏まえて施行する予定だ。
