カーゴニュース
インターワイヤード(本社・東京都品川区、斉藤義弘代表取締役)が運営するネットリサーチのDIMSDRIVEは、流通問題研究協会と共同で「物流の2024年問題」に関するアンケートを行った。5月15~16日にかけて全国の20歳以上の男女を対象に、合計1318人から回答を得た。一般の消費者の8割が身近な物流である宅配便の再配達削減など労働環境改善に肯定的である一方、料金の値上げについては意見が分かれた。

M&Aキャピタルパートナーズが物流・運送業の経営者100人を対象に行った意識調査(2023年版)の結果を公表した。荷主と運賃交渉の結果、5割が値上げを実現した一方、交渉が決裂した場合に「撤退する」を選択するという回答も4割にのぼるなど、荷主とのコミュニケーションにも変化が見られる。

港湾、空港でも「2024年問題」への対応が加速してきた。トラックドライバーの労働時間規制が厳格化されることで、国内物流を維持していくには、他の輸送モードとの連携や複線化はますます重要になってくる。トラック輸送への依存度を下げるとともに、港湾、空港といった物流インフラにおいて、トラック輸送と連携することでの生産性向上を図る取り組みも欠かせない。

上場企業を中心とした物流大手の2023年3月期決算が出そろった。全24社中21社が増収となったほか、営業利益で24社中17社が増益になるなど、おおむね増収増益基調を維持した。前期は、海上・航空運賃の高騰が下期以降に正常化に向かったものの、円安による為替効果の寄与もあり、多くの企業が増収を維持した。利益面では燃油費や電気代の上場が利益を圧迫する面も見られた。一方、今期(24年3月期)の業績予想は、23社(ロジスティードが非公表)のうち7社が減収を、営業利益では23社のうち半数近い11社が減益を見込むなど、業績悪化を想定する企業が増えている。

住友倉庫の2023年3月期の連結決算は、海運事業を売却した影響で減収だったものの純利益は過去最高だった。間嶋弘代表取締役専務執行役員は「今年度からスタートした第五次中期経営計画では構造改革をさらに推進する」と発言。各種コストの上昇の価格転嫁の進捗について「倉庫の保管料の単価をみると、コロナ禍前と比べると4%上昇しており、一定程度の転嫁ができている」と報告した。

2022年度の宅配便大手3社の取扱個数の合計が前年度比1.0%増の46億7800万個となった。3社のうちヤマト運輸を除く2社は前年割れ。ヤマト運輸も取扱個数こそ前年を上回ったものの、伸び率は鈍化した。宅配便の取扱個数の伸びが低調な背景には、とくに昨秋以降、消費財を中心に商品価格の値上げが続き、通販需要が低調に推移していることが挙げられる。また、EC大手が自社配送に力を入れる中で、統計上には表れない“隠れ宅配”にシフトしていることも考えられそうだ。

働き方改革法に基づきトラックドライバーの労働時間のルールが厳しくなる「2024年問題」。実施を1年後に控え、サプライチェーンの結節点となる「倉庫」への影響も注目される。行政は倉庫での長時間の荷待ち時間に対する監視を強めており、改善できなければ企業名が公表される恐れもある。労働環境を改善するため、ドライバーを「運転」業務に特化させる動きが、倉庫側での作業の負荷増大を招く懸念もある。2024年問題が倉庫にもたらす影響を、マイナスとプラスの両面から探る。

ヤマト運輸と、コロワイドグループのマーチャンダイジングを統括するコロワイド MDは3月28日、リードロジスティクスパートナー(LLP)協定を締結した。コロワイドグループは「牛角」や「かっぱ寿司」、「大戸屋ごはん処」など複数の外食チェーンブランドを展開し、こうした外食事業を中心にサプライチェーンを構築してきた。一方で、今後の事業成長を図る給食事業などは多頻度小口配送など多様な輸配送ニーズへの対応が重要となることから、小口配送に強みを持つヤマト運輸とのLLP協定締結に至った。

トラック運送業界で外国人労働者導入向けた検討が本格的に始まる。全日本トラック協会(坂本克己会長)は2023年度の事業計画で、人材確保にかかわる施策のうち、「外国人労働者の導入に向けた検討策の推進」について優先度を高めて取り組むこととした。トラック運送業について、人手不足業種の労働力確保を目的とした在留資格である「特定技能」への追加指定を目指し、関係機関との調整を進めていく。

不動産サービスのCBREが、「製造業の集積と物流施設需要」と題するレポートを公表した。台湾半導体大手のTSMC(台湾積体電路製造)の熊本進出の事例から、工場新設で期待される経済波及効果と物流施設の需要について考察。「製造業がEC化の進展と並んで日本の先進的物流施設需要を牽引するもう一つの潮流となると考えられる」と分析している。

2022年9月、わが国と国交正常化50周年を迎えた中国。重要な貿易相手国として強い経済的結びつきを保持してきたが、コロナ禍を経て同国を取り巻くグローバルサプライチェーンには大きな変化が訪れている。日系物流会社として最も早く中国へ進出し、日本通運、山九とともに“中国物流御三家”と称されてきた日新の章征栄・執行役員中国統轄に、中国物流の最新事情と今後の市場展望を聞いた。

越境ECの拡大により、輸入小口急送貨物への対応が急務になっている。航空貨物などによる不正薬物や知的財産侵害物品等が摘発される事案が増加し、ECプラットフォーム事業者のフルフィルメントサービスを利用した貨物について不適切な課税価格で輸入申告が行われるケースもみられる。財務省関税局・税関では、EC関連の新たなビジネスモデルの台頭に適切な対応を図るため、通関業者、ECプラットフォーム事業者との連携・協力を強化。令和5年度関税改正において制度の見直しを実施し、NACCS(輸出入・港湾関連情報システム)の更改時期も踏まえて施行する予定だ。

日本から米国に向かう国際海上コンテナ輸送で、韓国などを経由するトランシップの占める割合が上昇している。2022年は、釜山などを経由して運ばれるトランシップ貨物の比率は4割に達した。サプライチェーンの混乱により抜港の継続などで「直航便神話」も崩れており、荷主がトランシップを前提としたサプライチェーンに組み直す可能性もある。

ロシア・ウクライナ戦争の長期化、米中対立の先鋭化を背景に、経済効率性を重視したサプライチェーンの見直しが本格化してきた。企業は生産拠点や調達先を分散・再配置し、供給網の途絶リスクへの備えを強化。国際輸送の混乱や物流コスト上昇など「運ぶ」ことのリスクも顕在化したことから、安定供給に向け、現地生産による「地産地消」や市場に近い場所で生産する「ニアショアリング」に加え、一部の製造業が国内工場の新設や生産ラインの増強に乗り出すなど、国内生産回帰の動きもみられる。

恩賜上野動物園から中国へ返還されたジャイアントパンダ「シャンシャン」。その輸送を担当したのは、“動物輸送のパイオニア”阪急阪神エクスプレスだ。中国・四川省にある成都双流国際空港までの航空輸送を手配し、動物輸送における長年の経験と実績を活かすことで無事、安全にシャンシャンを送り届けることができた。

トラック運送など物流会社の倒産が増勢だ。燃料費の高騰など事業環境の悪化が背景にあるが、不正会計などの法令違反をきっかけに信用が失墜し、取引先を失ったり、金融機関からの追加融資が受けられなくなったりして倒産に至るケースも目立つ。企業としての存続を危うくする不正を防止するため、上場していない中小企業の経営においてもコーポレートガバナンスの強化が欠かせなくなっている。

日本郵便は、国内BtoB物流事業の強化に乗り出す。4月1日付で、JPトールロジスティクス(JPトール)とトールエクスプレスジャパン(TXJ)の子会社2社の事業を再編するとともに、社名を「JPロジスティクスグループ」および「JPロジスティクス」に変更。これまで2社に分かれていたコントラクト事業(3PL)、フォワーディング事業、エクスプレス事業(特積み事業)を一体的に運営するとともに、社名変更により日本郵便の子会社であることを明確に打ち出す。

トラック運賃が緩やかながらも上昇基調に転じているようだ。トラックドライバーの労働時間が短くなり、ドライバー不足がさらに深刻化する「2024問題」への危機感をはじめ、燃料費・人件費の高騰を受けてトラック運送事業者の価格転嫁、値上げ交渉の成果が徐々にだが見え始めている。1月末、業界大手の佐川急便が4月からの宅配便運賃の値上げを発表したのに続き、2月6日にはヤマト運輸が同じく4月から宅急便などの値上げを行うことを明らかにし、大手が追随する可能性がある。値上げが遅れている中小トラック事業者の底上げも課題となる。

三井不動産と日鉄興和不動産は2月1日、東京都板橋区に新たな物流施設を共同で着工した。ヤマト運輸が入居し、クール宅急便の配送拠点として活用する。マルチテナント型で都内最大級の規模となり、約1000人以上の雇用を予定している。その他、「日本初、世界初では」と三井不動産役員が主張する、独自の設備も用意する。

通販業界などでは、「宅配各社が燃料高を理由にまた運賃を上げてくるのではないか」との話がすでに出ている。「宅配クライシスの再来だ」と。それに備えて、通販各社では集荷・持ち込みの時間帯や場所、方法を宅配会社に負担のない形へ変えることで運賃交渉につなげるなど、あの手この手の施策を考え始めているようだ。物流専門紙の記者5人が2023年新春座談会で意見を交わした。
