藤江直人
アビスパ福岡を初タイトルに導いた長谷部監督の手腕…エースが「心をつかまれた」瞬間とは?
かつてJ2とJ1を行き来していたアビスパ福岡。昇降格を繰り返す「エレベータークラブ」だった同チームが、今ではすっかりJ1に定着した。それどころか、2023年の「YBCルヴァンカップ」では強豪・浦和レッズを撃破し、Jリーグ参入28年目にして初タイトルを獲得した。その立役者といえるのが長谷部茂利監督である。J1屈指の人気クラブ・ガンバ大阪に誘われたエースストライカーに「おめでとう」と言葉をかけるなど、器の大きなマネジメントを展開する同監督の手腕に迫る。

常勝軍団のはずが…元代表・柴崎岳がケガで離脱、5年連続「無冠」鹿島アントラーズの過酷な現実
常勝軍団・鹿島アントラーズがもがき苦しんでいる。ヴィッセル神戸戦で敗れてリーグ戦優勝の可能性が消滅し、2018シーズンを最後に5年連続「無冠」が確定した。タイトル奪回を掲げて約6年半ぶりに復帰した元日本代表MF柴崎岳も、状況を変えられないまま負傷離脱した。ヨーロッパからの復帰組が増えた鹿島が直面するチーム作りの難しさを、「柴崎の言葉」と「鹿島の歴史」の両面から探る。

バスケ日本代表ホーバス監督の異色すぎる経歴、トヨタ社員→NBA選手→IT副社長…FBI目指した過去も
男子バスケットボール日本代表が快挙を達成した。先日のW杯で史上初の3勝をマークし、従来の「対欧州勢で全敗、五輪を含めた世界大会で11連敗」という不名誉な記録に終止符を打った。そして、アジア勢の最上位に与えられるパリ五輪出場権を獲得したのだ。代表チームを率いるのは元NBA選手のトム・ホーバス氏。同氏の指導力の高さは折り紙付きだが、選手だけでなく「会社員」の経験があるという事実はあまり知られていない。その異色の経歴と、独自のチームビルディングに迫った。

前代未聞の暴動沙汰…「浦和レッズサポーター」が問題を起こしがちな真因とは?
今年8月、浦和レッズの敗戦後に憤慨したサポーターがピッチに乱入し、暴力や破壊行為に及んだ。日本サッカー協会(JFA)は違反行為に手を染めた浦和サポーター17人を特定し、日本国内で行われる全試合を対象とした無期限入場禁止処分を科した。暴力行為や小競り合いなど、過去に発生したJリーグファンによる問題行動の多くには、必ずと言っていいほど「浦和レッズサポーター」が関わっている。その理由は何なのか。記者会見におけるクラブ幹部の発言などから、その真因を探る。

日本の若き逸材がマンチェスター・ユナイテッドの「夢のオファー」を断った理由
サッカー日本代表の守護神候補と期待される鈴木彩艶(すずき・ざいおん/21歳)。ガーナと日本のハーフで、驚異的な身体能力を持つゴールキーパーだ。鈴木は今夏までJリーグの浦和レッズに在籍し、そこからベルギーの中堅チームに移籍した。だが、鈴木の元には世界を代表する名門クラブ、マンチェスター・ユナイテッドからも獲得オファーが届いていた。その「夢の移籍」を、実は鈴木は断った。なぜ彼はその選択をしたのか。取材で鈴木が残した言葉から、プロサッカー選手のキャリアプランやステップアップの在り方を考察する。

サッカー日本代表に「恐怖の北朝鮮アウェイ戦」再び…24時間監視に携帯禁止、心労で敗戦の過去
サッカーW杯(2026年大会)のアジア2次予選で、日本代表と対戦する国々が“難敵”ぞろいとなった。核実験や弾道ミサイル発射を繰り返す北朝鮮に、内戦が続くシリア。1次予選の結果次第では、クーデター後の政情不安が続くミャンマーも加わるかもしれない。各国と対戦する際は「ピッチ外」でも選手たちが神経をすり減らすことが懸念される。歴史をひもとくと、特に北朝鮮代表とのアウェイ戦で、日本代表は極めて厳しい措置を課されてきた。その恐怖の実態とは――。

古橋亨梧「セルティックと契約延長」の真意を深読み、強豪移籍の“条件”とは?
欧州サッカー「夏の移籍市場」におけるサプライズの一つが、日本代表FW古橋亨梧によるセルティックとの契約延長だろう。昨シーズンのリーグ得点王を獲得した28歳の快足アタッカーは、ファンやメディアから「イングランド・プレミアリーグのクラブへステップアップを果たせるのでは」と期待されていた。そこから一転、古橋が2027年6月までの4年契約を結んだのはなぜなのか。古橋が下した決断の真意と、この先にさらなる強豪チームへ移籍する確率を探る。

56歳キングカズ、出場・ゴール激減でも「現役続行」のワケ…全面支援するキーマンとは?
56歳のプロサッカー選手、FW三浦知良の新たな戦いが間もなく始まる。今年1月に横浜FCから期限付き移籍した、ポルトガル2部オリベイレンセとの契約をさらに1年間延長。8月中旬の新シーズン開幕を心待ちにしている。50歳を迎えてからはゴールもプレー時間も激減しているキングカズは、結果が求められるプロの世界でなぜ現役を続けられるのか。その背景には、生涯現役を望むカズを全面的に支援してきたとされる「キーマン」の存在があった。

名門バルセロナからヴィッセル神戸へ加入し、世界を驚かせてから5年余り。スペイン代表でも一時代を築いた司令塔、アンドレス・イニエスタが涙とともに日本を去った。だが「人格者」のイメージが強いイニエスタは、日本ラストマッチでの交代時に自チームの吉田孝行監督と目も合わせず、半ば“無視”するような形でピッチを後にした。愛する神戸での引退を望んでいた39歳のレジェンドは、なぜ「もう一つの顔」をのぞかせたのか――。その胸中に迫った。(ノンフィクションライター 藤江直人)

ヴィッセル神戸に5年間所属した稀代の司令塔、アンドレス・イニエスタが7月1日の北海道コンサドーレ札幌戦を最後に退団する。日本サッカー界に大きな足跡を残した39歳のレジェンドは、スコットランドリーグの得点王を獲得し、日本代表にも復帰したFW古橋亨梧(元・神戸所属)を大きく成長させた一人だといえる。約5年前の紅白戦で、FC岐阜(当時J2)から神戸に移籍したばかりの古橋に対し、イニエスタはさりげない助言を耳打ちしたという。古橋の飛躍のきっかけになった一言とは――。

折り返しが迫るJ2戦線でFC町田ゼルビアが首位を快走している。15位で終えた昨シーズン後に、28年間率いた青森山田高校を屈指の常勝軍団へ育て上げた黒田剛監督が新指揮官に就任。当初は好奇な視線を向けられた、53歳になったばかりの新人監督はいかにして町田を変えているのか。躍進の背景には、高校サッカーでは多用される一方、「プロでは通じない」とされてきた“意外な戦術”があった――。

10代の頃から天才と呼ばれてきた日本代表MF久保建英が、覚醒のシーズンを迎えている。昨夏に加入したレアル・ソシエダで、自己年間最多を大きく上回る8ゴールをマーク。ラ・リーガ1部の上位をキープするチームをけん引している。戦いの場をスペインへ移して4年目。これまで苦戦を強いられてきた21歳が、自らたぐり寄せたターニングポイントを追った。

キャプテンとして日本代表を長く支えてきたDF吉田麻也が、クライマックスを迎えたブンデスリーガ1部で奮闘している。3月に船出した第2次森保ジャパンで選外になった34歳のベテランは、どのような思いを抱きながらドイツの地でプレーしているのか。所属するシャルケの1部残留に、ヨーロッパにおけるキャリアの継続をかける男の「いま」を追った。

サッカー日本代表が臨む国際親善試合のマッチメイクが、3月に続いて6月シリーズでも難航している。ヨーロッパ勢との対戦がほぼ途絶え、北中米カリブ海勢やアフリカ勢との対戦も難しくなった状況はなぜ生まれたのか。選択肢が著しく限られる交渉で隣国・韓国の存在が大きなカギを握ってくる理由も含めて、最新のマッチメイク事情を追った。

サッカー・スコットランドリーグの名門セルティックが独走での連覇を目前にしている。チームをけん引するFW古橋亨梧は得点王獲得へばく進し、MF旗手怜央とともに年間最優秀選手候補に挙げられている。しかし、先の3月シリーズを戦った日本代表に2人は招集されていない。理由を問われた森保一監督は「リーグのレベル」と言及し、国内外に大きな波紋を広げた。では、スコットランドは本当に低レベルなのか。同リーグのトップ選手が「国際舞台でどれほど活躍したか」を振り返りつつ、発言の妥当性を徹底検証する。

日本サッカー協会(JFA)が異例の人事を発令した。会長、副会長に次ぐナンバー3の要職で、日常の業務を統括する専務理事に2月1日付で、日本代表のキャプテンとしてW杯でも活躍し、ファン・サポーターから「ツネ様」の愛称で親しまれた46歳の宮本恒靖氏を抜擢した。古巣ガンバ大阪の監督などを経て、JFA理事および会長補佐に就任したのは昨年3月。まだ1期目の途中ながら、宮本氏本人も驚いた大出世にはどのような意図が込められているのか。

Jリーグ監督の顔ぶれが、予備軍を含めて一気ににぎやかになってきた。現役を引退して間もない42歳の中村憲剛氏と34歳の内田篤人氏が、監督に必要なS級ライセンス取得を目指して来年度の養成講習会を受講。早ければ2024シーズンから監督としての雄姿が見られるからだ。ここで気になるのはプロ野球界とは大きく異なる、指導者になるための独自のカリキュラム。全容や制度改正をひもといていった先に、日本サッカー界の未来予想図が見えてくる。

さまざまな感動と興奮の余韻を残して、中東カタールで開催されたサッカーのW杯が幕を閉じた。アメリカ、カナダ、メキシコで共同開催される3年半後の次回大会を待ち遠しく感じる一方で、実はW杯の魅力をスポイルしかねない問題が生じている。出場チーム数を現行の「32」から「48」へ、一気に50%も増やした背景に見え隠れする国際サッカー連盟(FIFA)の拝金主義と、このタイミングで次回大会の開催方式を変えようとしているご都合主義を追った。

森保ジャパンのカタールW杯が、夢の途中で終わりを告げた。ノックアウトステージ初戦でPK戦の末にクロアチア代表に屈し、目標として掲げ続けたベスト8の一歩手前での敗退を余儀なくされた。W杯優勝経験のあるドイツ、スペイン両代表をグループステージで撃破。世界を驚かせ、日本中を熱狂させた13日間の激闘をどのように捉え、次なる戦いへ繋げていけばいいのか。選手たちが残した数々の言葉のなかから、日本の「いま」と「未来」を追った。

日本代表が再び世界を驚かせた。カタール・ドーハ郊外のハリファ国際スタジアムで、12月1日(日本時間2日未明)に行われたカタールW杯のグループE最終戦で強豪スペイン代表を2-1で撃破。ドイツ代表に勝利した初戦に続く大番狂わせで、2大会連続4度目のノックアウトステージ進出を決めた。5日(同6日未明)に待つクロアチア代表とのラウンド16へも大きな期待を抱かせる、歴代の代表チームが持ち合わせていなかった新たな武器に迫った。
