藤江直人
体操ニッポンを“絶対王者”としてけん引してきた内村航平(33・ジョイカル)が、晴れやかな笑顔とともに現役に別れを告げた。歴史に自らの名を刻んだ、一握りのアスリートだけが臨める現役引退会見から伝わってきたのは、未来を担う子どもたちを含めた、日本社会全体へ向けた三つのメッセージだった。

首都・東京をホームタウンとする現時点で唯一のJ1クラブ、FC東京の経営権をIT大手のミクシィが取得した。世界的なヒットを記録したソーシャルゲーム「モンスターストライク」の配信で知られるミクシィは、なぜFC東京を子会社化したのか。Jリーグの舞台で何を手がけていきたいのか。そもそもどのような接点を持ったのか。スポーツ事業を次なる柱に据える同社の戦略を追った。

今シーズンの戦いを全て終えた明治安田生命J1リーグで、ヴィッセル神戸が従来の7位を上回る、クラブ史上で最高となる3位へ躍進して来シーズンのACL出場権を獲得した。2017年シーズンから大型補強路線に舵を切り、翌シーズンには稀代の司令塔アンドレス・イニエスタを名門バルセロナから獲得。世界を驚かせてもなお未来への投資となる補強を惜しまない楽天グループのトップ、三木谷浩史会長が残してきた言葉から、他のJクラブとは一線を画す神戸の野望を追った。

底抜けに明るいキャラクターと屈強な対人守備で10年間も浦和レッズの主軸を担ってきた、34歳の元日本代表DF槙野智章の契約満了に伴う退団が大きな反響を呼んだ。世代交代を進める浦和側が断腸の思いで来シーズン以降の契約を更新しない決断を下したものだが、そもそもJリーグにおける「戦力外通告」とは、プロ野球界と比べてどのようなシステムになっているのか。過去にも、何人もの大物選手たちが通告されてきた、サッカー界特有の「ゼロ円提示」をあらためて振り返った。

7大会連続7度目のワールドカップ出場へ向けて、苦しい戦いが続く日本代表に救世主が舞い降りた。9月の初戦で敗れたオマーン代表と、敵地で再び対峙した日本時間11月17日未明のアジア最終予選第6戦で、後半開始から投入された24歳のMF三笘薫が得意のドリブル突破から決勝点をアシスト。日本を3連勝とグループBの2位浮上に導いたニューヒーローが、A代表デビュー戦でまばゆい輝きを放った背景を探った。

川崎フロンターレが2度目のJ1リーグ連覇を達成し、通算優勝回数を2位タイの「4」に伸ばした。昨年オフと東京五輪の前後に主力が次々と海外へ移籍しながらも、夏場に大型補強を成功させたライバル勢の追随を許さない戴冠だった。実際に戦った選手たちは、歴史的な独走を演じた昨シーズンとは「一味違う」と強調する。派手な補強とは無縁の川崎が、黄金時代を築き上げつつある背景を探った。

25歳のピエリアン・アウンがサッカーのミャンマー代表の一員として来日し、日本代表とのワールドカップ予選前に母国で暴政を続ける国軍へ抗議の意思を示してから5カ月あまり。政治亡命を経て肩書きを難民認定者に、ゴールキーパーを担うピッチをフットサルに変えて、Y.S.C.C.横浜のプロ契約選手として新たな人生を送っている。サッカー元日本代表の松井大輔と同時期の加入だ。仕事や日本語の習得を含めて、今を必死に生きる姿を追った。

7大会連続7度目のワールドカップ出場を目指す日本代表が、アジア最終予選で大苦戦を強いられている。12日の難敵オーストラリア代表戦で勝利し、2勝2敗の五分に戻したとはいえ、現状でグループBの4位に甘んじている。解任を求める声がネット上で溢れる一方で、選手たちからは「みこしを担ぎたい」と思いを寄せられる、森保一監督を巡る問題点を追った。

共に3度のW杯に出場した35歳のレジェンド、本田圭佑と長友佑都が9月に入ってさらに対照的な道を歩んでいる。日本代表を引退して3年になる本田は、今年前半をプレーしたアゼルバイジャンに続いてリトアニアのクラブへ加入し、森保ジャパンでも引き続き主軸を担う長友は古巣FC東京へ約11年ぶりに復帰した。日本を長くけん引してきた2人が見せる、熱い生き様の源泉を追った。

サッカー日本代表を率いる森保一監督に向けられる批判が、7大会連続7度目のワールドカップ出場をかけたアジア最終予選に入って一気に激しさを増している。金メダル獲得を公言しながら4位に終わった先の東京五輪を含めて、直近の戦いでようやく可視化されるに至った3つの問題点を追った。

東京五輪でのメダル獲得を目標に掲げていたサッカーの日本女子代表「なでしこジャパン」が、不完全燃焼の戦いを続けた末に準々決勝で姿を消した。高倉麻子監督の進退が問われる状況で、待望論が浮上している世界的なレジェンド、澤穂希さんにもすぐには代表チームの監督を務められない事情がある。

東京五輪の開幕直前で、選手村に入村していたサッカーのU-24南アフリカ代表から複数の新型コロナウイルス感染者が出た。濃厚接触者と確認された選手・スタッフは実に21人にのぼり、22日に東京スタジアムで行われるU-24日本代表とのグループリーグ初戦へ向けてさまざまな波紋が広がっている。

9秒台を誇るライバル勢を抑えて、東京五輪の陸上男子100m代表を射止めた多田修平(住友電工)。自己ベストが10秒01の伏兵を勝者に変えた最大の要因、メンタルの強さは高校時代の独特なトレーニングにあった。

サッカーのジャマイカ選手団の来日が、日本固有の“PCR検査ルール”のために遅れ、日本代表との国際親善試合が取りやめになった。開催が危ぶまれる東京五輪・パラリンピックが実現しても、同様のトラブルが起きれば大混乱につながりかねない。

早ければ来夏からのスタートを目指して、ヨーロッパサッカー界を代表するビッグクラブが集結していた「ヨーロッパスーパーリーグ」構想があっけなく崩壊した。サッカー熱の低い米国の大手投資銀行が動いた背景とは。

日本人初の快挙となるマスターズ制覇を成し遂げたプロゴルファーの松山英樹。長年、コーチを付けなった松山だが、目澤秀憲コーチがスイングだけでなくメンタル面でも支えとなり、マスターズではミスを引きずらす平常心でプレーを続けることができた。2人の出会いと、目澤流コーチングの影響を振り返る。

25日の韓国代表戦は3-0の快勝。キャプテンを務めるDF吉田麻也選手は出場できるかどうかの瀬戸際だったが、JFAはチャーター機を用意してまで帰国させた。その裏にはコロナ禍の「特例」があった。

多くの選手たちがサッカー界に別れを告げた昨シーズン。そのなかでも川崎フロンターレひと筋で18年間プレーし、二冠を手にしてスパイクを脱いだMF中村憲剛の決断は日本サッカー界に衝撃を与えた。以前から心中に秘めていた「40歳での現役引退」を実践したレジェンドがサッカー界のOBとして、そして父親として残したさまざまなメッセージをあらためて追った。

新星が次々と輝きを放った今シーズンの女子ゴルフ界は19歳のルーキー、新世紀世代の笹生優花が賞金ランキングで堂々のトップに立ち、新型コロナウイルスの影響で合算の形で争われる来シーズンへ折り返した。プラチナ世代の20歳・古江彩佳が2位、黄金世代の21歳・原英莉花が3位で続く一方で、不振にあえいだメジャー覇者、22歳の渋野日向子も12月の全米女子オープンで4位に入り、復活ののろしを上げながら激戦必至の2021年を見すえている。

20世紀のサッカー界を代表するスーパースター、ディエゴ・マラドーナが現地時間11月25日に、母国アルゼンチンの自宅で心不全により死去した。60歳になった直後に届いた突然の訃報に世界中が深い悲しみに暮れている。出場した4度のワールドカップと日本サッカー界との間で紡がれてきた縁を介して、波乱万丈に富んだレジェンドのサッカー人生をあらためて振り返った。
