枝久保達也
「これが日本の鉄道技術か…」海外も注目するJR東日本の「信号機不要」の制御システムとは
2月24日付『「鉄道の信号機」もう不要?140年の歴史を変える「次世代信号システム」が革新的すぎた!』で取り上げた通り、今後の鉄道事業が持続可能性を高めるために不可欠なのが「無線式列車制御装置(CBTC = Communication Based Train Control)」だ。JR東日本は、CBTCの一形態とも言える独自の無線式列車制御システム「ATACS」をすでに一部路線に導入しており、さらに2028年以降の山手線・京浜東北線への導入に向けて準備を進めている。ATACSとはどのようなシステムなのか、同社に話を聞いた。

「そりゃ普及するわ…」JR西日本のICOCAが急拡大、PASMOと明暗分かれた納得のワケ
JR西日本のICカードICOCAの導入事業者が3月で50社を超えた。東日本でPASMOが停滞する一方、ICOCAはなぜ急速に普及しているのか。JR西日本の担当者に話を聞いた。

「並ばない万博」以前の問題だろ!ガラガラなのにバスに乗れない“謎システム”にため息が出る…
4月17日に取材で大阪に行く機会があったので、翌18日に「2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)」を訪れてみた。取材は半月前から決まっていたが、13日に万博が開幕することに気づいていなかった。11日に万博開幕間近を伝えるニュースを見て、せっかくだから寄ってみることにしたのである。筆者はこれまで国際博覧会に行ったことがない。1985年の「つくば博」はまだ3歳であり、1990年の「花博」は関東在住のため行く機会がなく、2005年の「愛・地球博」は大学4年生で何かと忙しく行こうという発想がなかった。そのため、本稿では過去の万博との比較や、個人の関心や好みに左右されるコンテンツの批評は避ける。また、メタンガスなど現在進行形の問題についても取り上げない。あくまでも交通を中心とする流動についてリポートしたい。

そりゃ親子が夢中になるわ…「JR東の無料イベント」が鉄道ファンじゃなくてもドハマりするレベルだった!
3月27日にまちびらきを迎えた「TAKANAWA GATEWAY CITY(高輪ゲートウェイシティ)」。当連載の3月31日付記事では開発の経緯と概要を取り上げ、最後に高輪の150年の変化を知ることができる企画展「未来へつながる 鉄道とまちづくり展」を紹介した。これがなかなか面白い内容だったので、今回はゴールデンウィークに初めて高輪ゲートウェイシティを訪れる人に向けて、企画展の内容を紹介したい。

「蒲田の“空白ピース”がついに」…東急「新空港線」実現で羽田空港アクセスはどう変わる?
東急電鉄は4日、東急多摩川線を矢口渡~蒲田駅間から地下化し、京急蒲田駅付近まで約1.7キロ延伸する「新空港線」について、国土交通省から都市鉄道等利便増進法に基づく営業構想の認定を受けたと発表した。約1250億円を投じる計画に期待されることとは。

もはやSFの世界だわ…「高輪ゲートウェイシティ」開業で垣間見えた“未来の街”とは?
JR東日本が社運を賭けるプロジェクト「TAKANAWA GATEWAY CITY(高輪ゲートウェイシティ)」が3月27日、まちびらきを迎えた。都心では最大級となる約10ヘクタールの都市開発は、どのように結実したのか。筆者は3月25日に行われた内覧会と、開業翌日の28日に現地を訪れた。

そりゃ高くても乗りたくなるわ…東海道新幹線に導入の「半個室」の気になる料金
JR東海は3月19日、2027年度に東海道新幹線へ半個室タイプの上級クラス座席を導入すると発表した。同社は2022年に「グリーン車の上級クラス座席」の導入を検討すると表明。2024年4月には、2026年度中に「個室」を導入すると発表しており、今回の「半個室」は第2弾の位置づけとなる。

阪神電鉄は初の座席指定、東北新幹線はグランクラス「消滅」…鉄道各社の新型車両が大変化!
早いもので、今年も3カ月が過ぎ、2024年度は間もなく終わりを迎える。年度末ということで、2025年度あるいは、その先を見据えた車両関係の取り組みが次々発表されているので紹介していこう。

年間81万件の「顧客の声」を“使える資産”に変えた、JR西日本のAI活用が画期的だった!
顧客との重要な接点である「お客様センター」には日々、多数の問い合わせが寄せられる。例えば、JR西日本の問い合わせ件数は年間約81万件、1日当たり約2200件の電話と約200件のメールが送られてくるという(2023年度)。こうした「顧客の声(以下VoC=Voice of Customer)」は、顧客のニーズを把握する貴重な経営資源であるが、必ずしも活用されていなかったのが現実だった。この経営課題に対し、JR西日本グループは生成AIを活用したVoC分析パッケージを開発。その開発者に話を聞いた。

「熱くて呼吸苦しくおそろしさとで一心に祈る人が、つぎつぎと息たえて…」東京大空襲で生き延びた人が逃げ込んだ「意外な場所」
1945年3月9日夜から10日未明にかけて行われた「東京大空襲」から80年を迎えた。この空襲で東京下町のほぼ全域、現在の東京23区の3分の1以上にあたる約41平方キロを焼失。100万人が家を失い、推定10万人以上が死亡した。第二次世界大戦中の空襲による日本人民間人死者数は約40万人、原爆投下の死者を除けば約20万人である。つまり通常の空襲による死者の半分が3月10日の東京下町で生じたことになる。当時、20歳だった人ももう100歳。当事者の証言、記憶は失われつつある。当時、東京唯一の地下鉄(現在の銀座線)沿線で暮らしていた下町の人々は、最悪の夜に何を目撃したのだろうか。

山陽新幹線でとん挫した「夜行新幹線」構想、実現しなかった“幻の座席”とは?
山陽新幹線は3月10日、新大阪~博多間の全線開業から半世紀を迎える。東海道新幹線に続く第2の路線としてさまざまな新技術が導入され、今もJR西日本の屋台骨であり続ける同線には「夜行新幹線」構想が存在した。なぜこのような構想が浮上し、そして消えていったのか。

「鉄道の信号機」もう不要?140年の歴史を変える「次世代信号システム」が革新的すぎた!
西武鉄道は1月末、多摩川線の営業運転終了後に実列車を用いて行っていた無線式列車制御(CBTC)システムの実証試験を完了した。検証結果をもとに、2030年代に全線への導入を目指す次世代信号システムの方式を決定する。鉄道の安全は信号システムによって担保される。CBTCとはどういうものなのか、その革新性も含めて詳しく解説する。

PayPayと何が違うの?JR西日本が新スマホ決済「ウェスモ」を始める狙い
JR西日本は1月21日、国内鉄道事業者としては初めて資金決済に関する法律に定める「第二種資金移動業者」に登録されたことを受け、2025年度第1四半期中に新たな決済サービス「Wesmo!(ウェスモ)」のサービスを開始すると発表した。自社クレジットカード「J-WESTカード」、ICカード「ICOCA」に続く、新たな決済サービスを導入する狙いとは。

【JR3社決算】JR東日本・東海だけが二桁増益の絶好調だったワケ
JR西日本は1月31日、JR東日本とJR東海は2月3日に第3四半期決算を発表した。各社とも増収増益となり、コロナ前に匹敵する数字も散見される。個別の数字を見ていこう。

「ブルートレインや食堂車が懐かしい…」国鉄の歴史を超えたJR「37年の変化」が凄すぎた!
1月29日でJRが発足して37年と10カ月、1万3819日が経過した。これにより1949年6月1日に発足し、1987年3月31日に終焉した日本国有鉄道の歴史、1万3818日を超えることになった。国鉄が駆け抜けた時代は、戦後復興から高度成長、オイルショックを超えてバブル経済の入り口まで、激動の昭和である。これに対して昭和末から平成、令和の37年間は、私たち当事者からすると、さほど変わっていないようにも見えるが、デジタル技術の発達がもたらした社会の変化は、昭和のそれを超えるのかもしれない。そして交通機関の機能や役割もまた、この間に大きく変化したのである。

「ときどき速度違反の注意があった…」阪神電鉄がスピード違反を繰り返したワケが今じゃ考えられない…【鉄道史】
阪神電気鉄道は今年、1905年4月12日の開業から120周年を迎える。前年、1904年に甲武鉄道(現・JR中央線)が電車運行を開始しているが、こちらは蒸気機関車で運行していた「鉄道」を電化したもの。阪神が画期的だったのは「軌道」として開業したことだ。関西私鉄の雄である阪神電気鉄道の120年の歴史とは。

えっ、もう10年?「アーバンパークライン10周年」の東武野田線、今春の新型車両導入で懸念されること
先日、最寄りの東武野田線七里駅を利用した際、改札口の電光掲示板(発車標)の裏側に「アーバンパークライン10周年」というポスターが貼られていることに気づいた。そうか、今年でそんなになるのかと思って調べたら、2024年4月に10周年を迎えていた。完全に機を逸してしまったわけだが、今年も野田線は新たな変化を控えているので、せっかくだからお付き合い願いたい。

えっ、品川にかつて村があったの?鉄道開業で大変貌した「まさかの地名」【鉄道史】
2025年は「昭和100年」にあたる年だという。ついこの間、「大正100年」と言われた気がするが、それからもう13年も経過したのである。気が付けば令和ももう7年。暦ばかりどんどん進んでいくのは、筆者が歳を重ねたためだろうか。約100年前の日本は、関東大震災や昭和金融恐慌などもあり、決して明るい時代ではなかった。だが、鉄道史において、現代的な都市生活が形作られたのも、この時代だった。

「こりゃ常識が覆るわ」JR東日本の次世代Suicaが便利すぎ!一方で懸念も…
ICカード乗車券「Suica」のサービス開始から約25年。この間、抜本的なモデルチェンジを行わなかったSuicaだが、いよいよ「次世代」の姿が見えてきた。12月10日にJR東日本が発表した「Suica Renaissance」とは。

こんなに速かったのか…120年前の「日本初の電車」が御茶ノ水~中野間で要した時間が驚きだった
120年前の1904年12月31日、現在のJR中央線、当時はまだ私鉄だった甲武鉄道御茶ノ水~中野間で電車の運行が始まった。日本初の路面電車は1895年に京都で誕生し、東京にも1903年に登場していたが、専用の線路を走る「鉄道」の電車運転は甲武鉄道が日本初であった。日本の電車ネットワークの120年の歴史とは。
