枝久保達也
そりゃ高くても乗りたくなるわ…東海道新幹線に導入の「半個室」の気になる料金
JR東海は3月19日、2027年度に東海道新幹線へ半個室タイプの上級クラス座席を導入すると発表した。同社は2022年に「グリーン車の上級クラス座席」の導入を検討すると表明。2024年4月には、2026年度中に「個室」を導入すると発表しており、今回の「半個室」は第2弾の位置づけとなる。

阪神電鉄は初の座席指定、東北新幹線はグランクラス「消滅」…鉄道各社の新型車両が大変化!
早いもので、今年も3カ月が過ぎ、2024年度は間もなく終わりを迎える。年度末ということで、2025年度あるいは、その先を見据えた車両関係の取り組みが次々発表されているので紹介していこう。

年間81万件の「顧客の声」を“使える資産”に変えた、JR西日本のAI活用が画期的だった!
顧客との重要な接点である「お客様センター」には日々、多数の問い合わせが寄せられる。例えば、JR西日本の問い合わせ件数は年間約81万件、1日当たり約2200件の電話と約200件のメールが送られてくるという(2023年度)。こうした「顧客の声(以下VoC=Voice of Customer)」は、顧客のニーズを把握する貴重な経営資源であるが、必ずしも活用されていなかったのが現実だった。この経営課題に対し、JR西日本グループは生成AIを活用したVoC分析パッケージを開発。その開発者に話を聞いた。

「熱くて呼吸苦しくおそろしさとで一心に祈る人が、つぎつぎと息たえて…」東京大空襲で生き延びた人が逃げ込んだ「意外な場所」
1945年3月9日夜から10日未明にかけて行われた「東京大空襲」から80年を迎えた。この空襲で東京下町のほぼ全域、現在の東京23区の3分の1以上にあたる約41平方キロを焼失。100万人が家を失い、推定10万人以上が死亡した。第二次世界大戦中の空襲による日本人民間人死者数は約40万人、原爆投下の死者を除けば約20万人である。つまり通常の空襲による死者の半分が3月10日の東京下町で生じたことになる。当時、20歳だった人ももう100歳。当事者の証言、記憶は失われつつある。当時、東京唯一の地下鉄(現在の銀座線)沿線で暮らしていた下町の人々は、最悪の夜に何を目撃したのだろうか。

山陽新幹線でとん挫した「夜行新幹線」構想、実現しなかった“幻の座席”とは?
山陽新幹線は3月10日、新大阪~博多間の全線開業から半世紀を迎える。東海道新幹線に続く第2の路線としてさまざまな新技術が導入され、今もJR西日本の屋台骨であり続ける同線には「夜行新幹線」構想が存在した。なぜこのような構想が浮上し、そして消えていったのか。

「鉄道の信号機」もう不要?140年の歴史を変える「次世代信号システム」が革新的すぎた!
西武鉄道は1月末、多摩川線の営業運転終了後に実列車を用いて行っていた無線式列車制御(CBTC)システムの実証試験を完了した。検証結果をもとに、2030年代に全線への導入を目指す次世代信号システムの方式を決定する。鉄道の安全は信号システムによって担保される。CBTCとはどういうものなのか、その革新性も含めて詳しく解説する。

PayPayと何が違うの?JR西日本が新スマホ決済「ウェスモ」を始める狙い
JR西日本は1月21日、国内鉄道事業者としては初めて資金決済に関する法律に定める「第二種資金移動業者」に登録されたことを受け、2025年度第1四半期中に新たな決済サービス「Wesmo!(ウェスモ)」のサービスを開始すると発表した。自社クレジットカード「J-WESTカード」、ICカード「ICOCA」に続く、新たな決済サービスを導入する狙いとは。

【JR3社決算】JR東日本・東海だけが二桁増益の絶好調だったワケ
JR西日本は1月31日、JR東日本とJR東海は2月3日に第3四半期決算を発表した。各社とも増収増益となり、コロナ前に匹敵する数字も散見される。個別の数字を見ていこう。

「ブルートレインや食堂車が懐かしい…」国鉄の歴史を超えたJR「37年の変化」が凄すぎた!
1月29日でJRが発足して37年と10カ月、1万3819日が経過した。これにより1949年6月1日に発足し、1987年3月31日に終焉した日本国有鉄道の歴史、1万3818日を超えることになった。国鉄が駆け抜けた時代は、戦後復興から高度成長、オイルショックを超えてバブル経済の入り口まで、激動の昭和である。これに対して昭和末から平成、令和の37年間は、私たち当事者からすると、さほど変わっていないようにも見えるが、デジタル技術の発達がもたらした社会の変化は、昭和のそれを超えるのかもしれない。そして交通機関の機能や役割もまた、この間に大きく変化したのである。

「ときどき速度違反の注意があった…」阪神電鉄がスピード違反を繰り返したワケが今じゃ考えられない…【鉄道史】
阪神電気鉄道は今年、1905年4月12日の開業から120周年を迎える。前年、1904年に甲武鉄道(現・JR中央線)が電車運行を開始しているが、こちらは蒸気機関車で運行していた「鉄道」を電化したもの。阪神が画期的だったのは「軌道」として開業したことだ。関西私鉄の雄である阪神電気鉄道の120年の歴史とは。

えっ、もう10年?「アーバンパークライン10周年」の東武野田線、今春の新型車両導入で懸念されること
先日、最寄りの東武野田線七里駅を利用した際、改札口の電光掲示板(発車標)の裏側に「アーバンパークライン10周年」というポスターが貼られていることに気づいた。そうか、今年でそんなになるのかと思って調べたら、2024年4月に10周年を迎えていた。完全に機を逸してしまったわけだが、今年も野田線は新たな変化を控えているので、せっかくだからお付き合い願いたい。

えっ、品川にかつて村があったの?鉄道開業で大変貌した「まさかの地名」【鉄道史】
2025年は「昭和100年」にあたる年だという。ついこの間、「大正100年」と言われた気がするが、それからもう13年も経過したのである。気が付けば令和ももう7年。暦ばかりどんどん進んでいくのは、筆者が歳を重ねたためだろうか。約100年前の日本は、関東大震災や昭和金融恐慌などもあり、決して明るい時代ではなかった。だが、鉄道史において、現代的な都市生活が形作られたのも、この時代だった。

「こりゃ常識が覆るわ」JR東日本の次世代Suicaが便利すぎ!一方で懸念も…
ICカード乗車券「Suica」のサービス開始から約25年。この間、抜本的なモデルチェンジを行わなかったSuicaだが、いよいよ「次世代」の姿が見えてきた。12月10日にJR東日本が発表した「Suica Renaissance」とは。

こんなに速かったのか…120年前の「日本初の電車」が御茶ノ水~中野間で要した時間が驚きだった
120年前の1904年12月31日、現在のJR中央線、当時はまだ私鉄だった甲武鉄道御茶ノ水~中野間で電車の運行が始まった。日本初の路面電車は1895年に京都で誕生し、東京にも1903年に登場していたが、専用の線路を走る「鉄道」の電車運転は甲武鉄道が日本初であった。日本の電車ネットワークの120年の歴史とは。

「えっ、東京~新宿の運賃が2割値上げ?」JR東日本が初めて大幅値上げに踏み切った事情
JR東日本は12月6日、会社発足以来初となる運賃改定(値上げ)を国土交通省に申請したと発表した。経営が好調な「本州三社」は、消費税率改定などの増収を目的としないものを除き、運賃改定を行ってこなかった。にもかかわらず、最大手のJR東日本が運賃改定に踏み切った事情とは。

JR西日本の取り組みが斬新すぎ!3Dプリンターで駅舎建設、100万円超の家具販売…
JR西日本は12月5~6日、大阪・梅田のグランフロント大阪でグループの総合展示会「Innovetion&Challenge Day」を開催した。本連載ではJR西日本のオープンイノベーションをたびたび取り上げてきたが、本展示会ではその後の展開や、新規案件などが紹介されていた。

特急「スーパーはくと」運行30年、かつて構想凍結されたローカル線が「超優等生」になれたワケ
兵庫県の上郡駅と鳥取県の智頭駅を結ぶ鉄道事業者、智頭急行は12月3日で開業30周年を迎えた。同社は鳥取県を筆頭に、兵庫県、岡山県や沿線自治体が株式を保有する第3セクター鉄道だ。全国には旧国鉄の特定地方交通線、JRの新幹線並行在来線を転換した3セク鉄道が47社存在するが、その中でも智頭急行は「優等生」と称される。地方鉄道の苦境が唱えられる中、なぜ智頭急行は成功したのだろうか。

「取りすぎでは?」私鉄4社の大幅増益で浮き彫りになった運賃値上げの課題【大手私鉄16社決算】
大手私鉄16社の2024年度中間決算が出そろった。これまでの決算記事でも触れているように各社の経営環境はすでに「アフターコロナ」に突入している。決算に与えたコロナ禍の影響ではなく、各社の経営がコロナ前からどのように変化したかを中心に見ていきたい。

「それ、ただのバスじゃない?」富士登山鉄道を断念した山梨県→打ち出した新構想に無理やり感が…
11月18日公開の前回記事では、山梨県が推進する「富士山登山鉄道構想」のコンセプトや技術面の問題を指摘した。そして、今回の記事で構想をめぐる県と地元のすれ違いを深堀すると記したが、山梨県の長崎幸太郎知事は同日、富士吉田市や富士五湖観光連盟など反対派の懸念を受け入れ「鉄路を使わない新しい方式での移動手段に変更する」と表明したのである。計画に拘泥せず、自治体や県民の声を受けて見直しに踏み切ったことは評価したい。だが、前回取り上げたように、山梨県は10月28日に「鉄道敷設は技術的に可能」との中間報告を発表したばかりだった。それがわずか二十日での急転直下の方針転換。一体何があったのか。

往復運賃1万円でも300万人が利用?「富士山登山鉄道」構想が紛糾する当然のワケ
山梨県は10月28日に富士山登山鉄道構想の「事業化に係る中間報告」と「技術課題調査検討結果」を公表した。富士山麓(県道707号線胎内交差点)と富士山五合目を結ぶ有料道路「富士スバルライン」上に、登山鉄道を整備するという大胆な計画をめぐって地元が揺れている。富士山のおひざ元である富士吉田市、富士五湖地域の市町村、観光協会、地元企業から構成される富士五湖観光連盟、富士登山道の入り口にある北口本宮冨士浅間神社、山梨県側の山小屋・売店が加盟する富士山吉田口旅館組合といった地元当事者が、山梨県の構想に真っ向から反対しているのである。富士山登山鉄道構想の概要と、実現に向けた課題とは。
