村上 力
#2
IRジャパンはなぜ、発生が予測できない巨額ディールを通期見通しに盛り込む無謀な行為に及んだのか。それは同社がこれまで企業と株主の紛争で荒稼ぎできた成功体験があるからに他ならない。ダイヤモンド編集部の独自取材で、IRジャパンに巨額フィーを支払った企業名を明らかにする。アクティビストの圧力を受けるセブン&アイ・ホールディングスやリコーなどが、IRジャパンに「企業防衛」を依頼していた。

#1
IRジャパンが下方修正の必要性を認識しながら、固執し続けた通期売上高120億円の業績予想。その根拠となる案件名と報酬額が、ダイヤモンド編集部が入手した内部資料で明らかになった。その内容を検証すると、ドラッグストア大手ツルハホールディングスをはじめ有名企業から億円単位の巨額フィーを得る計画など、無謀な「皮算用」が通期見通しの根拠となっていた実態があった。

予告
IRジャパンの開示不正疑惑を暴く!「お手盛り」調査報告書に隠された真実
上場企業の“用心棒”として株主対応などを手掛けるアイ・アールジャパン(IRジャパン)で今年6月、元副社長のインサイダー取引と、上場規程に反して業績予想修正を適切に開示しなかった疑惑が、ダイヤモンド編集部の報道により明らかになった。あれから3カ月。IRジャパンは調査報告書を公表したが、その内容は、不十分な調査と経営陣を擁護する詭弁に満ちた「お手盛り」そのものだった。そこで本編集部の独自取材により、開示不正疑惑の真相と、疑惑の背景にある「企業防衛ビジネス」の実像を明らかにしていく。

#4
日覺昭廣・東レ社長の「反論文書」で唯一、言及がなかった水処理事業部の不正会計疑惑の深層。実は疑惑の取引に手を染めた社員は日覺社長の腹心で、東レが2019年に警視庁中央警察署に届け出た「印鑑偽造被害」は、日覺社長の保身のための「虚偽告訴」の疑いが浮上している。

#3
特集『東レの背信』に激怒した日覺昭廣社長が作成した「反論文書」。だがうかつにも、ダイヤモンド編集部が指摘した独立役員と東レの利益相反疑惑の取引を事実と自ら認めていた。プライム上場基準に抵触する恐れも出てきている。

#2
6月の株主総会で、「史上最低」とされる6割の賛成しか得られなかった東レの日覺昭廣社長。求心力低下に神経を尖らせる日覺社長は、特集『東レの背信』に対し激怒。社内向けに怒りの「反論文書」を配信していた。

#4
東レ中興の祖、前田勝之助氏から後継指名を受けた榊原定征元社長と、日覺昭廣社長の「不仲」は財界の余話だ。榊原氏を追い出した後の東レで進む、研究開発力の低下。ライフサイエンス事業で行われる「利益操作」とは何か。

#3
岸田政権が傾注する「公益資本主義」なる思想に、東レの日覺昭廣社長も心酔しているようだ。「第三者、外部の目という言葉が嫌い」「現場を知らない社外取締役は不要」と口さがないが、東レは日覺社長体制でこの10年以上、社員の逮捕や品質不正が頻発している。公益資本主義の「実験場」である東レの現場で起きている実態とは――。

#2
東レの社外取締役は、日覺昭廣社長の「お友達」で固められている。そのお友達が経営するファンドに、東レが海外子会社を通じて「迂回出資」している疑惑が明らかになった。度重なる品質不正で、経営陣が「免責」されるカラクリを含めて解明する。

日本を代表する化学メーカー、東レ(日覺昭廣社長)で今年1月末、家電製品や自動車部品に使う樹脂製品の安全認証での不正行為が明らかになった。製品特性の一つである燃えにくさについて、アメリカの第三者安全機関であるUL(アンダーライターズ・ラボラトリーズ)から認証を得る際に、実際の製品とは異なるサンプルを提出するなどして、試験を不正にクリアしていたという。東レは今月にも報告書を公表する運びだが、取材を進めると、実は東レが、5年以上前からこの不正を把握し、公表直前までひそかに“火消し工作”を図っていたことが分かった。また、5年前に子会社であった品質不正を教訓として実施した再発防止策が、まったく機能していなかった疑いも浮上している。

警視庁のノンキャリで採用され、2018年に同庁組織犯罪対策部の管理官(警視)を退官した櫻井裕一氏。在職中のほぼ全てを暴力団担当、いわゆる『マル暴』一筋で歩み、稲川会と住吉会の抗争事件や、暴力団への不正融資事件、暴力団が仕切る談合事件などの数々の経済事件の捜査を経験した。その櫻井氏に、反社会的勢力による企業恐喝など、企業対象暴力の現状を聞いた。

「ニコアンド」や「グローバルワーク」など、さまざまなファッションブランドを展開し、グループで約9000人の従業員を擁する東証1部アダストリア(会長兼社長・福田三千男)が2017年頃、自社健保を設立するため、加入している総合型健康保険組合「東京ニットファッション健康保険組合」(理事長・宮入正英、以下KF健保)に脱退を申し出たところ、同健保から反対に遭い、3年間以上にわたり不本意な形で、脱退が拒否し続けられていることが分かった。背景を探ると、寂れゆく衣料品問屋が成長分野のアパレル小売業に目をつけ、若者を中心としたアパレル店員の保険料を利権化している構図が浮かび上がった。
