モチベーションを高めるカギは、
「ルーツ」を知ること
斎藤 世の中のためという目線が身についてきた、というのは、やはり見える範囲が広くなって、できることも大きくなっているから、というのもありますか?
榊原 もう1つあります。いま、昔の歴史を振り返るようになっているんです。いままで僕、自分の父親がなんであんなに無口なのかって、分析したことがなくて。そしたらわかったのが、うちの父親の父親、つまり祖父が、実は戦死していたということ。だから、父親は知らないんですよね、祖父のことを。じゃあ祖父はどこで死んだのかと思って調べたら、インパールの戦いで死んでいるんです。しかも、おそらく飢え死にで。そのとき、どれだけ辛い思いをしたんだろうっていうところとかが、父親に影響しているのだと思います。
結局、そういう人たちの犠牲があるうえで今の日本があるんですよね。その人たちのためにも、がんばらなくちゃいけない。とくにいまは、イスラエルで事業を行っている関係で、杉原千畝さんの息子さんと仲がいいんです。そしてイスラエルでは、おばあちゃんが杉原千畝さんに救われた、という人が代表をやってくれています。そうすると、やっぱり歴史的な事柄も、かなり自分の中に入ってきたりします。過去の侍がつくったものが、僕に絡んできているというか。そこを、すごく見るようにはなってきたのが、目線を上げている、モチベーションを高めている、というのもあると思います。
斎藤 モチベーションは、かなり重要ですね。いま、やりたいことを見つけられていない人がどうすればいいか。それが今回本を書くにあたってのテーマでした。たとえば、目標を「仮決め」してとりあえず走ってみる、というのがあると思っています。がむしゃらに走っていくと、だんだん先頭集団に入っていって、気づいたら自分がやるしかないっていう使命感と、社会性を帯びてくる、というように。
榊原 はい。あとは、僕は自分で気づいたんですけど、いま、なぜ自分が生きられているのか、を知ることだと思います。なぜ自分がここに生かされているのか。どういう経緯で生まれたのかっていうことを、ちゃんと知る。そしたら、こんなにだらだらしてる俺って恥ずかしいよ、みたいな話になると思うので。僕は、そこですかね。
斎藤 歴史というか、ルーツというか。誰かの思いとか、努力とかの上にいるっていうことを理解する。
榊原 そこをまず理解することが、モチベーションを高める「最初の一歩」だと思います。
後編(10月17日公開予定)では、イスラエル進出後にぶち当たった「壁」や、今後のさらなる挑戦について伺い、榊原氏の「挑戦の作法」を解き明かします!(構成:編集部 廣畑達也)