「やれ!」ではなく「やる」と言わせる
じつは、この方法は現代のチームマネジメントにおいても有効です。
私がよく使っていたのは、目標を連続達成するためにあと一歩数字が足りないなど、窮地に陥ったときです。
そんなときは、大声を出して「やれ!」と発破を掛けるだけではどうにもなりません。そこで私は、現在の置かれている状況を率直に説明してから、チームのメンバーに判断をゆだねたのです。
「今月はあと20台売らないと目標には届かない。これは難しい数字だ。残念だが今月で連続達成を断念することもできる。みんなはどうする?」
このように判断をゆだねられると、たいていの人は挑戦意欲を刺激されて「やる」と言います。
内心では「無理だ」「できるかどうかわからない」と思っている人もいるはずですが、他のスタッフがいる前ではネガティブな答えは言いづらく、前向きな発言をしがちです。
そして、自分たちが「やる」と言った以上、人から命令されるよりも強い動機が生まれ、本気になって達成しようという挑戦意欲がわいてきます。そして、チームが一致団結して目標達成に向かうことになります。
面倒な仕事を依頼するときも、この方法は有効です。
上司「2つの会社からとった見積書、どう思う?」
部下「そうですね。項目がそれぞれバラバラで比較検討しづらいですね」
上司「どうすればいい?」
部下「比較表をつくりましょうか?」
最初から「比較表をつくって」では「面倒くさいなぁ」と思われてしまうかもしれませんが、このように「どうすればいい?」と尋ねることで、本人の自主性を引き出すことができます。