足立区には、100を超える商店街がある。だが、全区を覆うように商店街が広がっているわけではない。荒川の南側の千住地区には、交通の一大拠点である北千住駅を中心に、商店街が高密度に集積している。

 一方、荒川以北のエリアでは、そのほぼ中央を南北に貫く東武伊勢崎線の駅の周辺以外、大団地の周りなどに商店街が点在している程度だ。鉄道駅の存在と商店街の立地が深く関連し合っていることに、改めて気づかされる。

地域によって商店の発達度が違う?
足立区の小売業はまだ成長途上

 区全体の商店街密度(1km2当たりの商店街数)は、23区中21位。もっとも密度が低いのは、分母となる区の面積が大きいためでもあり、商店街の数は6位と上位の一画に顔をのぞかせる。

 小売店舗数となると、さらに順位が上がって第3位、専門店数も3位だ。売場面積の合計は、小売店全体では店舗数と同じ3位だが、専門店に限ると1位。商業集積の規模を売場面積の大きさで測るなら、足立区は23区随一の専門店集積地である。

 しかし、それ以上に注目されるのはその成長率である。2002年~07年の5年間の売場面積の増加率は2位。1位の江東区は、同期間中に人口が11%も増えている。これに対して、足立区の人口は1%台の微増に止まり、人口増加要因を差し引いた成長力を表わす人口1人当たりの売場面積増加率は、23区のトップに躍り出る。

 その増加率は、実に20%。23区の平均が2%増だから、実に10倍だ。足立区の小売業は、まだまだ成長途上にある。

足立区の商店街――数は増えても売り上げが少ない中小店を救うのは、「若者」や「よそ者」?

 もう1つ注目すべきは、食料品専門店の人口1人当たりの売場面積が、23%と大幅増を示していること。区民に身近な食料品店が増えていることは、何とも心強い。