昨年8月に発表したイオンと四国を地盤とする食品スーパー、マルナカ(高松市)の提携が停滞している。提携から半年たった今も、商品の共同調達やプライベートブランド商品の供給はいっさいなし。なんら進展の様子を見せていない。関係者からは、「提携は解消したのではないか」という声まで漏れるようになった。
そもそも昨夏に発表したときから、イオンとマルナカとの提携には懐疑的な声が多かった。
マルナカは、グループの山陽マルナカ(岡山市)と合わせて中国、四国地方に200店以上、売上高は3000億円を超え、中四国地方のスーパーとしては最大勢力だ。だが、公正取引委員会から繰り返し行政処分や立ち入り検査を受けるなど、コンプライアンス(法令遵守)の低さを指摘する声は多い。
それでも、イオンが提携に踏み切ったのには理由があった。
まず、国内流通再編に意欲を示している米ウォルマートのマルナカグループへの接近だ。傘下の西友関係者が何度か足を運んでおり、地元の流通関係者は「マルナカの提携相手は、当然、西友だろう思っていたが、イオンだったので拍子抜けした」と明かす。ライバルの動きに機先を制したというわけだ。
次いで、中四国とりわけ四国はスーパー最大手のイオンにとって空白地帯であることだ。四国にはマルナカが約140店有するのに対してイオンは30店に満たない。
全国制覇を狙うイオンが拙速に結んだ感のある今回の提携。当初、イオンはマルナカグループに数百億円の資本参加まで検討していたようだが、果実になるのは遠い先となりそうだ。
(「週刊ダイヤモンド」編集部 須賀彩子)