小田和正の名曲「ラブストーリーは突然に」をBGMに、最初のBITチームがプレゼンしたのは、「あの日あの時あの場所で」というアプリのアイデアだ。ユーザーが自分の理想の出会い方を登録しておくことで、同じ行動パターンを持つ男女をマッチング。ある特定の場所の近くを通りかかった時にポップが出現して、運命の出会いを演出するというものだ。

 続くBYTEチームが掲げたテーマは「ラブ&ヘルシー」。男女が生活する上で欠かせない価値観といえば「食」だ。そこで、好きな食べ物や食事の写真、SNSにアップした飲食店の情報などをデータ化し、これを元にマッチングするというサービス。「コンビニ弁当ばかり食べている人同士をマッチングするのではなく、不健康な食生活の人にはそれを補うような食生活の人をマッチングするなどの機能も」考えているとか。

 こうして、運命の人を探すためのユニークなアイデアが次々飛び出すと、オブザーバー陣もツボを突く質問を展開。様々な角度から、運命の人探しをサポートするサービスの可能性を広げる意見交換はどんどん盛り上がっていった。

 そして審査の結果、アイデアソン優秀チームが発表された。
3位は「24時間疑似デートができるサービス」を考えたYOTTAチーム。既存のマッチングサービスでは、いいなと思う相手を選んでメッセージをやり取りするなど、実際に会うまでのステップが大変。それを解消するために、SNSやスカイプの音声データなどを集めて本人をバーチャルで再現し、気軽に会ってみることで、会った後のミスマッチを少なくできるのではないかというアイデアだ。

 続く2位は、BYTEチームの「ラブ&ヘルシー」。

 そして1位には、シニア世代のマッチングを応援するサービスを提案したZETTAチームが選ばれた。健康寿命が延びるこれからの時代、婚活は若い人だけのものではなくなっている。そこでターゲットをシニア世代に絞り、「健康」をキーワードに、ウエアラブル端末で行動範囲やアクティブ率などのデータを蓄積。相手に会った時の本能的な「ドキドキ感」も心拍数で数値化できるはずと、斬新なアイデアを展開。「良い目線」とオブザーバーたちからの高評価を獲得した。

 審査員特別賞も贈られた。
 データサイエンティスト女子部賞は、2位と同じBYTEチームの「ラブ&ヘルシー」に。Google賞は、「ストレスフリーの婚活サービス」を提案したPETAチーム。運命の相手と幸福感が最大になる共同生活を送れることを目標に、婚活に対する精神的負担を代行するサービスを提案した。

人工知能で運命の人と出会えるか?<br />イベントレポート―データが教える本当の恋―

「今日は参加者の皆さん一人ひとりが、データサイエンスをどう婚活のビジネスモデルにどう生かしていくかを真剣に考えてくださったのでとても勉強になった。恋愛と結婚は違うもの。恋愛はお互いを見つめ合うことであり、結婚は一緒に共通の方向を見つめるものだから。データサイエンスという共通点を持ったみなさんが、同じ目的を見つめて議論できたこのアイデアソンは気づきがたくさんありました」(八木さん)

 恋愛力を数値化して、マッチングサービスに落とし込むことを目指したこのアイデアソン。日本の人口が計測史上初めて減少したことがニュースになる今、データサイエンティストたちが婚活市場をけん引する日も遠くないはずだ。