いろいろな公的保障は
「申請しないともらえない」
健康保険で治療費がおさえられるとはいえ、「がんになって仕事を休んだら、収入が減ってしまう」「体調が戻らなくて仕事を続けられなくなったらどうしよう」「手術のあとで障害が残ったらどうしよう」など、医療費以外のお金の不安もあるでしょう。
実はあまり知られていないのですが、がんになった時に使える公的保障は、他にもまだまだあります。
病気やケガで仕事を休んで給料をもらえなかった場合には、健康保険の「傷病手当金」という所得保障があります。仕事が続けられなくなって失業したときは「雇用保険」から、治療によって障害が残ったときは「障害年金」から、それぞれ給付が受けられます。
また、がんの末期で介護が必要になった場合は、40歳以上であれば「介護保険」のサービスも利用できます。また1年間に自己負担した家族全員の医療費が、10万円を超えると確定申告をすればお金が戻ってきます。
このほか、治療費や生活費の支払いに困ったときは、健康保険の「高額療養費貸付制度」、都道府県の「生活福祉資金貸付制度」などから、お金を借りることができます。ほかに手がない場合は、生活保護の受給が認められれば、無料で医療を受けられるようになります。また、がんの患者さん向けに治療費を助成している民間団体もあり、がんになった時に利用できる制度はけっこうあるのです。
ただし、これらの制度や補助金に共通しているのは、「自分から動いて申請をしないと受け取れない」申請主義だということです。役所が向こうから困っている人を探して、お金を配りに来てくれたり、病院を受診しただけで自動的に振り込まれるわけではなく、自分で申請して初めて利用できるものです。
公的保障があることを知らないために、治療費を支払うために金利の高い民間ローンを借りたり、お金がないからといって治療を断念したりする人もときどき見かけます。知らないと損してしまうことも多いので、がんになったら利用できる公的保障についても知っておきましょう。
A がんになったときに使える公的な保障は、状況に応じてさまざま。基本的に申請しないともらえないため、問い合わせてみましょう。
※次回はこの保障の中から「障害年金」について解説します。