一方、こうしたことを学ぼうと思って書店に行くと、「相続」「介護」「老人ホーム」「成年後見制度」といった個別テーマによる専門書は数多く存在します。ところが、これらのテーマは相互に深く関係があるにもかかわらず「高齢の親とその家族が遭遇しうる諸問題」といった視点で、これらの個別テーマの勘所を横串にした書物は、なかなか見つかりません。

 現役世代が生活防衛のために、よりよい人生を送るために、どんなアクションが必要なのか、その理由は何かを包括的に整理した書物が意外に少ないことに私は気がつきました。もしかしたら、先に挙げた私の知人が知りたいと思っていることは、彼以外の多くの現役世代の方々も知りたがっているのではないか――そのことをお伝えするのが、この連載の目的です。

 まず、親が70歳を過ぎたら元気なうちにやるべきことは、親が将来、認知症になったり、要介護や寝たきりになったときの備えと、亡くなった後のトラブル予防です。その中身は、

(1)老人ホームの情報収集
(2)遺言書
(3)任意後見契約
(4)財産管理等委任契約
(5)尊厳死宣言書

の5つです。これら5つの作業の共通点は、すべて親が元気で健康なうちに行なう必要があることです。次回以降、なぜ、これらが必要なのか、何がポイントなのかについてお話しします。

悩み多き老親を抱える<br />40代・50代の現役世代の現実『親が70歳を過ぎたら読む本』 村田裕之著

 

 

 

 

 

 

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