「収入」と「所得」は
違うことから覚えよう!

 前ページで説明したように確定申告は所得税を納めたり、取り戻したりする制度です。では、その所得税はどうやって計算されているのでしょうか。それにはまず「収入」と「所得」の関係を理解する必要があります。

収入―必要経費=所得

 サラリーマンやOL、パートタイマーなどであれば、収入は給与や賞与などの額面のこと、経費は収入別に決まっている給与所得控除額のことです。同様に年金生活者であれば、収入=公的年金の額面、経費=公的年金等控除額。個人事業主(自営業者)であれば、収入=売上、経費=事務所家賃や仕入費などです。
 こうして求めた所得金額を合計し(一部別計算しなければならないものもある)、以下の計算式で、所得税額を求めます。

所得税額=課税所得(所得金額-所得控除額)×税率-税額控除等

「所得控除額」とは、各人の個人的事情を加味して、税金の計算から除外してもいいとされているものです。全部で14種類あって、基礎控除や社会保険料控除、配偶者控除、医療費控除などがあります。

 こうして所得金額から所得控除額を差し引いたものに、課税所得に応じた税率を掛け、本来の所得税額を求めます。そこからさらに住宅ローン控除などの「税額控除等」を差し引き、納税すべき所得税額が決まります。
※このほか平成49年までの間、復興特別所得税額(=所得税額×2.1%)が加わります。

 サラリーマン等にお馴染みの源泉徴収税は、この所得税額を毎月仮の計算で会社が天引きし、税務署に納めるものです。“仮の計算”ですから、たいてい少し多めに天引きされます。その過不足を精算するのが年末調整で、会社が個人の確定申告を代行しているのと同じです。

 ただし、年末調整で対応してもらえるのは、よくある「控除」についてだけです。だからサラリーマンであっても、たとえば入院などをしたために医療費控除を受けたい場合は別途、自分で確定申告をする必要が出てきます。

確定申告が必要な人、
するとトクする人

 では、どんな人が確定申告をする必要があるのでしょうか。そこには「必ずしなければならない人」と、する義務はないが「すれば必ずトクする人」「トクする可能性の高い人」がいます。以下に代表的なケースを挙げます。

確定申告を必ずしなければならない人(税金を納める義務のある人)
●サラリーマン、OL、パートタイマーのうち……

・年収が2000万円を超えている人
・給与以外に副収入(たとえば、満期保険金収入や不動産収入)があり、それらの所得(退職所得を除く)だけで20万円を超えている人
・2ヵ所以上から給与をもらっていて、年末調整されなかった給与の収入金額等(退職所得を除く)が20万円を超えている人
●年金生活者のうち……
・国民年金や厚生年金など、公的年金収入が400万円を超える人
・国民年金や厚生年金など、公的年金収入が400万円以下で、年金以外の所得金額が20万円を超えている人
●個人事業主など事業所得のある人
●アパート経営など不動産所得のある人

確定申告すれば必ずトクする人(必ず税金が戻ってくる人)
・医療費がおおむね10万円を超えている人
・ふるさと納税や寄付をした人
・上場株式等の配当があり、課税所得が900万円以下の人

確定申告すればトクする可能性の高い人(税金が戻ってくる可能性の高い人)
・マイホームを新築または購入し、住宅ローンを組んでいる人
・マイホームを新築または購入し、その住宅が認定長期優良住宅等の人
・マイホームのバリアフリー改修、省エネ改修工事または耐震改修工事を行った人
・副業の収入が源泉徴収されている人
・サラリーマンやOLで、自己負担した特定支出(図書費など)が多い人
・年の途中で退職して再就職してない人
・公的年金や個人年金をもらっている人

 上記以外でもトクするケースはありますので、詳しくは専門書や税理士に質問するなどしてご確認ください。
 次回は確定申告の種類や申告書の入手方法、確定申告書の作りなどについて説明いたします。