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「コストの多くは“あいだ”に存在する。原材料の納入者とメーカーのあいだ、メーカーと流通業者のあいだで発生し、しかもそのいずれでも計上されない」(『未来への決断』)
経済活動の究極の主役たる最終消費者にとって、意味があるのは経済プロセス全体のコストである。
原材料の納入者、部品メーカー、アセンブラー、卸、小売り、サービス店は、そのプロセスにおける連鎖の一つにすぎない。
プロセス全体のコストを管理するには、プロセス内の諸々の関係を再構築し、行動様式を変えなければならない。たとえば、プロセスを構成する組織のそれぞれが、おのおのの異なる会計システムを、互いに接続しなければならない。
あらゆる製品が、コストの積み上げによる価格設定では競争に勝てなくなった。まず先に価格を設定し、それに合わせてコストを削り込むことが今日の標準的な価格戦略である。
この価格主導のコスト管理への移行も、経済プロセス全体のコストを管理することによって容易になる。
法的にも独立した企業は、株主、債権者、従業員などにとっては現実の存在である。だが、経済的には経済プロセスの一部分に存在する仮の姿にすぎない。
「経済連鎖全体としてのコスト管理が必要である。経営戦略や製品企画などあらゆる活動について、法的な枠組みを超え、事業全体を把握してマネジメントすることが必要である」(『未来への決断』)