ミクロ経済学、マクロ経済学とは?

 経済学を学ぶにあたって、まずはその全体像を知っておくべきだ。
 経済学の目的は大きく2つに分けられる。「人の行動」「国の行動」の研究である。

 まず、人は商品やサービスを購入するとき、損か得かを考えて行動する。また、住宅のような大きな買い物をするときには、将来の所得を想定して行動する。人は自分の人生にとって得になる行動をとるのだ。しかし一方で、他者の動向に反応して行動することも多い。
 このような人間の複雑な行動を解明するのが「ミクロ経済学」である。ミクロ経済学からは市場やビジネスの仕組みが見えてくる。

 一方、国全体が何を選択し、どのように動くことが人々の最大の幸福に結びつくのか、このような大きな問題を解明していくのが「マクロ経済学」である。マクロ経済学の最小限の知識を獲得すれば、政治・経済全体の動向や、毎日のように発表される統計の読み方、国内外の経済ニュースの個々の意味、それらと勤務先企業や産業界との関係、といったことがわかってくる。

 たとえるなら、木の細胞まで見るのがミクロ経済学、木が構成する森林全体の生態系を知るのがマクロ経済学だ。ミクロとマクロの最小限の知識によって、あなたは生活でも仕事をするうえでも大いに助けられるに違いない。

 この2つの違いを知り、それぞれの知識を深く学んでいくことが、社会人として求められることだ。たとえば、ビジネスの原理を知るうえでは、以下の10個の知識を最低限知っておくべきだ。

・経済の3つの主体と市場メカニズム
労働価値説と効用価値説
・需要と供給の法則
・完全競争市場
・情報の非対称性
・囚人のジレンマとナッシュ均衡
・需要の価格弾力性
・限界効用逓減の法則

・収穫逓減の法則
・収穫逓増の法則

 あなたはいくつ知っていただろうか?他にも、仕事に必要な思考法、ニュースを読むために知っておくべき知識など、合計30ほどの経済学の知識が必要となる。
 これらの経済学の常識を身につけておきたいという人は、ぜひ拙著『会社に入る前に知っておきたい これだけ経済学』を参考にしてほしい。