「自動販売機は不要だ」という価値観の押し付けと、極論ではあるが、第二次世界大戦中の「贅沢は敵だ」とは紙一重の問題であると思えてならない。どちらも統制経済的な手法が産み出した鬼子であって、健全な市民社会にとってはまったく望ましくないと考える。

 杞憂であれば幸いだが、現政権の統制経済的(社会主義的)な発想には一抹の不安を禁じ得ない。私たちは市場経済を信じるべきであり、素直に価格メカニズムの活用を図るべきではないだろうか。 

国会に2つの委員会を設置せよ

 この未曽有の大震災に立ち向かうためには、一刻の猶予もならない。第一原発の沈静化にも、すぐそこまで来ている夏の電力不足の問題(首都圏)にも、また、第一原発近くから避難した世帯や農作物の風評被害を受けた農家等の補償にも、直ちに着手しなければならない。

 東電も政府もこれまでの対応を見る限りにおいては、余力はほとんどないように見える。そうであれば、当面は東電の経営形態に手をつける余裕があるはずもなく、私は前回、政府が東電を当面は民間の上場企業として存続させることを早く決断すべきだと論じた。要は現状を「時間との戦いである」と認識したということである。

 ただし、そのことと、わが国の将来のエネルギー政策が現状のままで良いということとはまったく別問題であると考えている。秋口になれば、夏の電力供給問題は終結しているはずであり、工程表通りに進めば第一原発の沈静化にもある程度の目途が立っていよう。大震災から時間も相当に経過しており、事態を冷静に振り返ることも可能になっていると思われる。