パートナーとはできるだけ苦労を分かち合う

介護のためにパートナーとの生活が犠牲になってしまう人もいます。

東京在住のEさん(40代女性・デザイナー)は結婚式の直前、母親が脳梗塞で倒れ、新婚の甘いムードを味わうことなく毎週、実家に通う日々が始まりました。

母親は片側にマヒが残り、「要介護3」の車椅子生活になってしまったのです。
父親と弟さんがいますが、家事が不慣れな2人にまかせるのも心配です。
しかも、父親は他人の手を借りたくないと介護保険の申請をいやがります。

しかし、同じ都内とはいえ、新居から実家までは片道2時間以上かかります。
平日は仕事、週末は介護。夫ともすれ違いが続き、ぎくしゃくしてきました。

いっそ仕事を辞めてしまおうか──そう考え始めた矢先、父親が体調を崩して入院。
ついに介護サービスの利用を決めました。
母親はショートステイを初めて利用し、Eさんは結婚後初めて、介護から解放される時間がもてました。

久しぶりに夫婦でゆっくり話ができ、長い間、実家中心の生活になっていたことを謝りました。
夫も、「一緒にいる時間が少なくて淋しかった」「何も相談してくれない疎外感があった」と正直に打ち明けてくれました。

Eさんはハッとしました。これまでは暗い話を聞かせたくない、迷惑をかけたくないと思い、夫に頼ろうとせず、相談することもありませんでした。
「これからはどんどんプロの手を借りて、夫婦の時間を大事にしよう!」

Eさんは父親の退院後も介護サービスを依頼し、実家通いを隔週にしました。