リーダーとは何か?
須賀 営業部長のとき、「数か月ください」というリーダーがいましたが、それではダメですね。数か月と言って、数か月経っても変わらないことが多いです。
最初に、強烈な方針を示して変わるときはすぐ変わる。本書で、「目標は生き甲斐でありプライド」とは言っていますが、でも目標は好きにはなれなかったですね(笑)。
青木 それでも、日本一になると言い続けたのはさすがですよ。
須賀 その裏には、心配性で臆病な性格が災いしていたと思います。言ったことに対して、私はどうすればいいのかを常に考えていました。それがなかったら、目標は達成できなかったと思います。「リーダーは小心者たれ」といつも言っているのは、そういうことなんです。
連続達成におけるリーダーと部下の関係
青木 目標を達成し続けるのはそんなに簡単ではありません。リーダーの教育では、「部下の話を聞いて、一緒に解決していく姿勢を示すこと」を伝えています。頭ではみんなわかっていても、それができない。結果、すぐにアドバイスをしちゃうんですよ。
営業ではお客様の話を聞くことができても、上司と部下の関係になると、上司は部下の話を聞くことができない。営業の手順と同じように、「現状」を聞いて、「何が問題なのか」を聞いて、「どうしていく?」と聞いて、「じゃあ、これで行こう」と決めるだけ。
なのに、「現状どうなんだ? それはなぁ……」と話し始める。なぜそうなるんだ!と(笑)。
須賀 上に立つ人は成功体験があるから、言っちゃうんでしょうね。
青木 そうです。また、それを「愛情」だと思っている。ただ、そこを辛抱しないと、ある意味、リーダーが教えてしまったことで、部下をつぶしていることになるんです。
指示しても、教え方がそうだと、部下はプレッシャーを感じてしまい、自立した組織にならない。そうなると、連続達成するような組織にはならない。
須賀 「48か月連続達成、すごいですね」とよくいわれてきましたが、私は、すごいとは思わなかった。目標達成を当たり前のレベルにしないとダメ。
達成することが特別なものになっているから、「すごいですね」という言葉が出てくる。当たり前が定着すると、難しくはないです。
青木 だけど、目標のバーがあがっていくのは、大変ではないですか?
須賀 それに比例して、部下が力をつけていく。実力も上がっていくので、問題はないと考えていました。
与えられた目標を自分の目標にできるかどうか、これをしっかりすれば、必ずチームで達成できます。
(書き手=編集部・武井康一郎)