皆さんの職場では、グチや不満は聞けていますか? これらは「組織をもっとよくしたい」という問題意識があるからこそ出るもの。陰でこそこそ言えば、組織は悪くなる一方ですが、日頃の活動で出てくるとどう変わるのでしょうか?。新刊『トヨタの伝説のディーラーが教える絶対に目標達成するリーダーの仕事』から、環境づくりについて紹介します。
意見の言えない組織はいらない
皆さんの職場では、スタッフたちがグチや文句、不満を口に出していますか?
スタッフがグチや不満を言わない組織には、2つの種類があります。
一つは、ES(従業員満足度)が非常に高く、本当に何の不満も出ない組織。これは意外と大企業に多いです。
一見、素晴らしいことのようですが、実態はわかりません。
上場企業や名の知れた大企業の一員として働いているという事実に、社員は満足してしまっているだけかもしれません。だから満足から上を望まないし、それ以上よくすることを望まない。
これはいわゆる「大企業病」というやつです。ぬるま湯に浸かっているだけかもしれないのです。でも大企業ならそれでも回っていくことが多いでしょう。
もう一つは言いたくても言えない組織。「どうせ言ってもダメだろう。仕方ないさ」と諦めてしまう組織です。
「どうせ言ってもダメ」と諦めているのは、かつてグチや文句を言っても、それが上司に聞き入れられなかったという経験があるからです。それどころか「ガタガタ言わず、やれ!」などと押さえつけられたことがあるのかもしれません。
文句やグチを言う人に対して、「黙ってやれ」と言うのは簡単です。簡単ですが、一つも解決にはなっていません。
グチや不満は、「組織をもっとよくしたい」という問題意識があるからこそ出るものです。そして、「リーダーが何とかしてくれるかもしれない」という期待もあります。
問題意識を持ってくれているスタッフは、リーダーにとって非常にありがたい存在です。そんな人を自ら遠ざけてしまっては、チームを改善していくことはできません。
それだけでなく、「リーダーは自分たちの意見を聞いてくれないんだな」とスタッフを萎縮させるおそれがあります。
また、何か問題が生じても、「これを言ったら怒られるかもしれない」と隠してしまうようになります。その結果、問題が大きくなるまで発覚せず、事態の悪化を招くこともあります。
グチや不満が出てこない組織というのは、かえって恐ろしいものなのです。