「体験」を売れば本当に売れるのか?

 これまで、商品の設計方法や、商品の価値の伝え方に関して、様々なノウハウが語られてきました。

「モノではなく、体験を売らなければいけない」
「ドリルを売るのではなく、そのドリルが果たす“結果”を売らなければいけない」

 確かにその通りだと思います。何か商品を買う時、ぼくらはその物質を買っているわけではありませんね。その商品を持っていたらできるようになる「体験」や「感情の変化(落ち着く、テンションが上がるなど)」を買っているのです。

 また、売り物は“ドリル”だったとしても、ぼくらがドリルをほしがるのは、ドリルという物体がカッコいいからではなく、「ドリルを持っていたら、穴を開けられるから」なわけです。

 そういう意味で、「モノではなく体験を売る」「ドリルではなく、“穴”を売る」という考え方は大切です。ただ、話をここで終えてはいけません。

「体験」や「“結果”」を売っていいのは、相手がそれをほしがっている時に限ります。ただ単に体験を売ればいいだけではなく、ただ単に“結果”を打ち出せばいいわけではありません。相手がほしい体験、相手が望む結果を提供しなければいけないわけです。

「そんなことは当たり前」と感じるかもしれませんが、世の中を見渡すと、消費者がほしい体験、望む結果を売っている商品・サービスがとても少ないことに気づきます。それだけ、「わかってはいるけど、結局できていない」ということなのだと思います。

 しかし一方で、いつもうまくいっている会社もあります。ヒット商品を連発していたり、口コミだけで予約が埋まっていたり。そういう会社は明らかに考え方が違います。マーケティング方法が違うというより、売り物を作る時の考え方に大きな違いがあります。

 ぼくが勤めていたリクルート社もそのうちの一つです。リクルート社が手掛けるビジネスはかなりの確率でヒットしています。多くの方は「リクルート社は営業力があるから売れている」と感じるかもしれませんが、そうではありません。

 リクルート社の営業マンには、「キャリアビュー制度」といって、3年限定の契約社員が多くいます。経験豊富な営業マンではありませんが、それでも立派な営業成績を残せます。リクルート社の本当の力は、経験が浅い営業マンでも売れるように「売り物」を設計している、その設計力にあります

 ひと言で言えば、リクルート社が提供しているのは、相手がほしい体験、望んでいる“結果”です。そして、常に視点がそこからブレず、しかも新しい事業を立ち上げる時も、まったく同じ結果を生むことができます。

 ぼくはリクルート社で「売り物設計」の本質的な考え方を知り、その後自分のビジネスを通じて、「売れる法則」を理論化させました。

 ぼくが毎年毎年、ベストセラーと言われるような本を出すことができるのも、この売れる法則に愚直に従っているからです。ぼくが日々コンサルティングに入っている案件でも、この法則を取り入れるとすぐに結果が出ます。集客力が上がり、売れるようになるのです。

 新刊書籍『どうすれば、売れるのか?』では、その法則の考え方、「売り物」を設計する時の具体的な手順を細かくお伝えしていますので、ご興味のある方はぜひお買い求めください。書籍では、ぼくが20年かけて作り上げた、商品開発からコンテンツ制作、マーケティング、PR、集客まで、あらゆるビジネスで役に立つ、人の心を動かす究極のメソッドを公開しています。