わが国のビジネス界が、これまで、女性や若者、外国人をほとんど活用してこなかったことを考えれば、ここにこそ、わが国のビジネス界の将来を担う豊かなブルーオーシャンがあると断言しても差し支えはないように思われる。わが国は、企業のトップ自らが率先垂範して、女性や若者、外国人の積極登用を進めるステージに来ているのだ。

東京の競争力は26都市中14位

 民間セクターと並んで復興資金の重要な稼ぎ手は、都市である。

 豊かな都市は多くの人々を吸引する。人が集まれば、まずご飯を食べる必要があり、それに伴ってさまざまな物資が集まってくる。さまざまな物資が集まれば、その決済のためにも資金が必要となりお金も集まってくる。かくして、その都市はさらに繁栄を極める。栄えるということは、歴史に学べば、ヒト・モノ・カネが集まるということと、ほぼ同義であることがわかる。

 プライスウォーターハウスが、世界の主要な26都市を10項目にわたって比較したリポートによると、2011年の世界の都市力総合ランキングで、1位がニューヨーク、ロンドンは6位、パリは8位、アジアでは、シンガポールが9位、香港が10位、東京が14位、ソウルが16位、北京が17位、上海が19位となっている(5月19日、日本経済新聞)。ちなみにこの調査も東日本大震災前に行われたものである。

 わが国でおそらく最も競争力の強い東京が、東アジアに限ってもシンガポールや香港に劣後している状況で、この国はこれからどうやってお金を稼ぎ出せるというのだろう。中長期的なコストの安い電力の安定供給問題を含めて、東京の国際競争力をどのように強化するのかという視点が、決定的に重要である。シンガポールや香港と互角以上に戦ってヒト・モノ・カネを集めて来よう、という気概なくしてこの国の将来の繁栄はないのではないか。

 この調査はまた、日経新聞によると「東京の自然災害のリスクは主要都市で最も高い」と見ているようだ。そうであれば、都市全体の耐震構造化に速やかに着手する必要があろう。メディアの中には、東京の集積リスク対策として、今こそ首都機能の分散を図るべきだという意見も散見されるが、分散によってわが国の都市の競争力がどのように高まるのだろうか。まず、その点をしっかりと挙証してほしい。競争力強化の視点を忘れた分散論は、政策論としてはほとんど意味がない。