このような状態では、グローバルな世界経済の中で熾烈な競争に打ち勝ち、潤沢な復興資金を稼ぎ出せるわけがない。わが国のビジネス界、つまり企業の競争力の強化を喫緊に図る必要がある。
企業の競争力をつけるためには
女性や若者、外国人にもっと経営陣に加わってもらおう
では、どうやれば、企業の競争力を高めることができるのだろうか。答えは、現実の世界の中にある。
たとえば、フォーチュン500社とわが国の代表的な企業を比較して何が違うのかをチェックしてみればいい。まず1つは社長(CEO)の年齢である。欧米の一流企業は40代の社長が多い。わが国とはおよそ20年近い開きがある。
次に欧米では女性の役員が多い。わが国では、女性の役員が誕生するとメディアが取り上げるほどに希少である。私が働いている生命保険業界は、女性セールスの力で持っていると言われて久しいが、常勤の女性取締役がいるのは、全生保47社中、わずかライフネット生命1社しかないのである。
第3に、欧米では外国人の役員が多く、経営チームは多国籍化している。わが国では、外国人が頑張っている企業は、日産やソニーなど数えるほどしかない。
このような事実を虚心坦懐に直視すれば、わが国のビジネス界の競争力を高めるためには、若者、女性、外国人にもっともっと経営陣に加わって貰うことが一番の近道ではないだろうか。ぬるま湯的な同質化集団から脱却して、異質で多様な経営チームを作ることが、企業の真の競争力を高めることになるのだ。
女性に頑張って貰うことについては、少し旧聞に属するが、ゴールドマンサックスが「ウーマノミクス3.0:待ったなし」(2010.10.6)という面白いレポートを出している。その骨子は、「ウーマノミクスを国の優先課題に据え、女性の就労拡大を促せば、出生率の上昇につながるばかりではなく、就業者数の増加によりGDPの水準は15%押し上げられる可能性がある」というものである。